月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「そだねー」「もぐもぐ」とオヤジ達。
カーリング女子に染まった日本列島。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2018/02/28 18:00
一番前は吉田知那美、2列目左は鈴木夕湖、右は吉田夕梨花、3列目左は本橋麻里、右は藤澤五月。
「そだねー」「そだね~」の連打!
「カー女 もぐもぐ注文10倍 美味し『そだねー』と注目!!」(2月21日)
カーリング女子が地元北見の銘菓「赤いサイロ」を食べる様子が注目され、店に注文が殺到しているという記事。「そだねー」が紙面にあふれ出した。
このあとは「そだねー」の乱れ打ち。
「メガネ先輩に韓敗です カー女 銅があるよ そだねー!!」(2月24日)
要は韓国には接戦の末に負けたが3位決定戦があるという意味なのだが「そだねー」がもれなくついてくる。ああ、おじさんに覚えられてしまった。
「もぐもぐタイム」に「そだねー」。
すーっとすべりながらストーンを投げるように、おじさんもすーっとカーリング女子に近づいてきた感がある。
そして遂に銅メダルを獲得。
「カー女は銅だよ!! そだね~ 逆転できたよ!! そだね~」(2月25日・1面)
間違いない。「そだね~」はもうオヤジのものだ。
もし今後あなたが「そだね~」を使うなら、たとえ若くてもたとえ女性でも、あなたはおじさんなのである。
『日刊ゲンダイ』が「バカじゃないか」と。
では、タブロイド紙は「カーリング女子」をどう伝えたか。強烈な見出しがあった。
「『もぐもぐタイム』だとか『検索ランキング上昇』だとかバカじゃないか」(2月22日付)
辛口でおなじみ『日刊ゲンダイ』である。それにしても炸裂している。
「バカじゃないか」
ゲンダイ師匠のお叱りはもちろん選手に向けてのものではなく、「奮闘するカーリング選手をスポイルするテレビ局」なのだ。「競技とは無関係のささいな話題を誇大、拡大、誇張して視聴者の関心を引きつける」行為を叱っているのだ。
しかし、銅メダルを獲得したあとは、
「『そだねー』『もぐもぐタイム』で大人気 カー娘にCMオファー殺到」(2月27日付)
『日刊ゲンダイ』も一気にメロメロになっていたのである。