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楽天に生粋の地元スター誕生か!?
ドラフト6位・西巻賢二の逸材性。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2018/02/22 08:00
しぶといバッティングができ、守備力も上々、チームプレーに徹する西巻。果たして開幕一軍はあるか!?
守備力は想定内だが、打撃も良かった!
室内でのフリー打撃。
コースに逆らわず打ち返す西巻のスイングに梨田監督が頷く。
「守備に関しては自主トレで見て大丈夫だと思っていたが、『バッティングは非力なのかな?』と。それがね、思っていたよりも打ち返していた。非常に楽しみですね」
打撃投手が相手とは言え、しっかりと対応できている――そんな西巻の姿に触れ、彼の高校時代を思い出した。
高校時代から「考えが大人」だった。
1年生の夏から甲子園のメンバーに入り、決勝まで全試合に出場。当時、仙台育英の監督を務めていた佐々木順一朗は、西巻の振る舞いをこう評していた。
「まず野球がうまい。あとは冷静なんですね。こっちは試合の途中からセカンドを守らせようと思っているのに、本人はセカンドだけでなくピッチャーの準備までしているくらい。3年生より状況が広く見えているし、自分を深く理解できている。考え方が大人なんですよ」
西巻という選手は、自分で考え、最適な答えを導き出す能力が高校生の段階で備わっていた、というわけだ。
打撃で言うと、高卒野手にとってプロでの大きな壁のひとつに、木製バットへの対応がある。
今どきの高校生だと、練習時から木製バットを使用することはそう珍しくなくなっている。高校の部活動を引退した後に大学やプロへ進むことを想定して、常日頃から木製バットでボールを打って、その感覚を養っているのだ。
西巻もそうだった。しかし、その目的は実にシンプルである。
「木製に慣れるというよりは、しっかりバットを振ることだけを考えていましたね。プロはバッティングピッチャーのボールも力があると思うんで、そこでしっかりと振り抜けないと実戦ではもっとできないんで。
今でも、芯を外すと弱い打球しか飛ばないし、まだまだやるべきことはたくさんありますね」