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ファンデルサールの「GK論」を
川口能活に読んでもらったら!?
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byGetty Images
posted2018/02/21 11:00
川口能活イチオシのエデルソン。ピッチを離れると茶目っ気たっぷりの守護神だ。
俊敏性とリーダーシップが抜群。
コメントを読み終えると、川口は深く頷いた。
「デヘアやティボウ・クルトワと比べると、ロリスに手足の長さはない。でも、GKに求められるフィットネス、俊敏性が抜群なんです。それから、ファンデルサールも言っているリーダーシップですね。フランス人のGKが、代表だけでなくロンドンのビッグクラブでキャプテンを務めている。これは、生半可なキャプテンシーではできないと思います。
ロリスは、例えばかつてのピーター・シュマイケルのように、派手なアクションと言葉でキャプテンシーを示すタイプじゃない。プレーで、背中で引っ張るタイプです。これを何年もやっているわけですから、チーム内の人間からしたら、ものすごい信頼感なんでしょうね」
では、川口が思う今季の欧州ナンバーワンGKは誰か。
「エデルソン(マンチェスター・シティ)ですね。これほど能力が高いとは思わなかった」
エデルソンは弾く技術がすごい!
エデルソンといえば、ボール保持を重視するマンチェスター・Cのサッカーとともに、足元の技術の高さが注目されがちだ。しかし川口は、GKならではのディープな視点で彼のプレーを絶賛する。
「シュートを弾く位置が、非常に上手いんですよね。普通のGKならば、弾くのが精一杯。前にこぼれて味方のDFがクリアするか、相手選手が押し込むか、紙一重になるようなシュートでも、エデルソンは相手にリバウンドを拾わせない。誰も触れないスペースに弾くんです。これは、シュートストップの技術が高いだけでなく、シュートを打たれた瞬間の視野が広いんだと思います」
ひとしきりエデルソンのプレーの優れた点を語ってくれた後、川口は再びページに目を落として、こう付け加えた。
「でも、ファンデルサールはエデルソンではなくて、アリソン・ベッカーの名前を挙げていますよね。実際、ベッカーはブラジル代表でもエデルソンから正GKの座を奪っている。僕は今季、ローマの試合をそれほどチェックしていなかったので、ベッカーのプレーはよく分からないんです。ファンデルサールが褒めるくらいですから、チェックしないといけないですね」