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酒井宏樹、マルセイユで強者となれ。
フランス代表に意見、左SBも余裕。
posted2018/02/21 10:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
人は環境によって、変わる。
酒井宏樹が、2016年夏にマルセイユへやってきた理由の1つが、勝者のメンタリティーを手にするためだった。ブンデスリーガでプレーしていた頃、こう話していた。
「サッカー選手の人生は短いじゃないですか? たいていの日本人選手は、ヨーロッパにある世界のトップレベルの国で10年間プレーするのは難しい。そう考えると、今日の試合で勝ち点が獲れるか不安になったり、負けないためにはと考えるのではなく、絶対に勝たないといけないプレッシャーのなかでやってみたいなと考えていたんです」
2月9日、マルセイユはアウェーでサンテティエンヌ戦に挑み、2-2で引き分けた。
パリSG、モナコ、リヨンというCL出場権を争うトップ4との対戦をのぞけば、勝ち点3を獲得できなかったのは、2017年12月3日のモンペリエ戦以来のことだ。
1月レンヌ戦の前に、左サイドバック(SB)を本職としているアマビが怪我をしてから、酒井はリーグ戦で左SBとして出場し続けている。'17年11月に、マンチェスター・ユナイテッドやユベントスで活躍したエブラとの契約を解除してから、マルセイユは実質3人のサイドバックで乗り切らないといけない。
そしてアマビはフランスカップで怪我から復帰して、ようやく66分間プレーしたばかり。この日も酒井は左SBとして出場すると、前半4分には右足クロスからトヴァンのゴールをアシストした。
「できれば左足で……(笑)」
試合後、このシーンについて謙虚に振り返った。
「できれば、左足からアシストできれば良かったんですけどね(笑)。でも数字が大事で、そこは求めているところなので良かったです」
そう話してから、課題を口にするあたりが酒井らしい。
「フロー(トヴァン)を狙ったんですけど、質的にはそんなに高くなかった。もう少し、低めに蹴ろうとしていたので。滞空時間が長いと、相手につめられる可能性があるから」
スボティッチらを獲得するなど、冬の移籍市場で活発に動いたサンテティエンヌとアウェーでの引き分けならば、それほど悪い結果だと思われないかもしれない。
しかし、試合後の酒井はそう感じてはいなかった。そこにはもちろん、理由がある。