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V9時代の森祇晶で考える正捕手論。
小林誠司に期待する、ある条件とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/02/02 17:00
同学年のエース菅野の信頼が厚い小林は、その期待に応えて盤石の正捕手の座を築けるか……。
では、巨人のレギュラー捕手に一番近いのは?
「横一線の競争に勝っていくしかない。今年ダメなら終わりです」
2月1日。小林がこう語って始まった宮崎春季キャンプ。最大のライバルと目された宇佐見が昨秋の練習試合で痛めた左手首の影響で三軍からとなり、ルーキーの岸田と育成出身の田中貴也捕手の3捕手体制でのスタートとなった。
初日の1日はあいにくの雨のために木の花ドームでの始動となったが、小林は最初のアップから先頭に立ち、ブルペンでも大声を出して他の2人を圧倒するようにリーダーシップを発揮した。
1年目は強肩はあったが、ただ投手のボールを捕る人だった。そこからいかに投手の信頼を得られる捕手になれるかと考えて成長してきた3年間だった。そうしてこれからはさらにインサイドワークを磨いて、どれだけ試合全体を構築できる捕手になれるか、だ。
打てるに越したことはない。
ただ、小林がライバルたちをはねのけて正捕手の階段を登りきるためには、どこまでそうした守備力を磨き切れるかにかかっている。
まさにそれが捕手というポジションなのである。
そういう意味ではライバルたちの中で一歩も、二歩も前に出ている。決して横一線ではないだろう。今年も巨人のレギュラー捕手に一番近いのは、小林誠司であることは間違いない。