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スマイルジャパン、平昌へ視界良し。
世界トップ10の国に4連勝、理由は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2018/02/03 11:00
平昌五輪では数少ない球技に属するアイスホッケー。そのエキサイティングさは一見の価値がある。
目標は同じ「メダル」でも、4年前とは意味が違う。
キャプテンの大澤ちほが、引き締まった表情を浮かべる。25歳の彼女は、スウェーデン戦当日が誕生日だ。
「前回の五輪も初戦をつかみきれれば、というのはありました。初戦はやっぱりカギを握ると思います。自分たちらしさを出さなければ勝てないので、100パーセントの力をぶつけていきたい。スウェーデンに勝ってリズムに乗っていきたい」
'98年の長野五輪から正式種目となった女子アイスホッケーは、アメリカとカナダが過去5大会で金メダルを分け合っている。表彰台に上がったことのある国は、フィンランド、スイス、スウェーデンを含めた5カ国だけだ。長野、ソチの2大会で日本は1勝もしたことがないが、スマイルジャパンは「メダル獲得」を目標に掲げる。
床亜矢可が言葉に力を込める。
「ソチのときは五輪の出場が決まってから1年で、メダル獲得の目標を掲げました。今回はソチで負けた瞬間から、次こそは本気でメダルを目ざしたいと思ってこの4年間やってきました。そういう意味では、前回とはまったく違った目標かなと思います」
大澤もチーム全体の思いを代弁する。
「今回は本当にメダルを狙えるチームで、みんなメダルを目ざすと口にしていますし、普段の練習からそういう意識で取り組んできました。メダルにチャレンジできる責任感とプライドを持って、4年間積み上げてきたものを出し切って、私たちらしく笑顔で終わりたいと思っています」
悲壮感が消え、逞しさに包まれている。
3大会ぶりの五輪に挑んだ4年前のスマイルジャパンは、女子アイスホッケーの未来を切り開く使命感を帯びていた。23人のメンバーのうち15人がソチ五輪に続いての出場となる今回も、彼女たちは多くの人の思いを背負っている。
ただ、使命感のそばにうっすらとした悲壮感が見えた4年前に比べると、平昌へ向かうスマイルジャパンは、使命感を力に変える逞しさに包まれている。以前から変わらないひたむきさに、太い芯が通っているのだ。
ここまでは、順調である。