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野球選手のFAは栄転か、求職活動か。
中日に入ったディロン・ジーの場合。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2018/01/31 11:20
ジーは推定年俸1億2000万円で開幕投手候補にも挙がる。同じく新入団の松坂大輔とはメッツ時代にロッカーが隣だったとか。
FAでチームを選べる立場の選手は実は少数派。
ダルビッシュやアリエッタは会社員にたとえれば、「今の会社では自分が生きない。他社で自分の腕を生かしたい」とか「今の会社よりも大きな会社で、自分の腕を試したい」、あるいは「自分の腕を見込んでくれた小さな会社を、大きな成功に導きたい」といった野心を持って転職するエリートである。
だがそういった会社員が少数派であるように、そういったプロ野球選手も実は少数派である。FA選手の多くは契約満了に従って、転職する必要に迫られた選手たちだ。
プロ野球選手が会社員と決定的に違うのは、学生から社会人=プロ野球選手となった最初の会社=球団に一定の期間いれば、自動的に職を解かれる(自由契約=FAになる)という部分である。
その期間は日本なら原則8年(海外移籍は9年)、メジャーリーグなら6年。うまく転職に成功しても、契約満了時に再び転職することになる。それぞれのタイミングで所属球団かほかの球団が必要としてくれるような結果を残しておけば転職先には困らないが、そういう結果を残していなければ「職探し」に奔走することになる(プロ野球選手の場合は代理人任せになるが)。
職探しにもレギュラーからマイナー契約まで段階が。
彼らの職探しにも、(1)レギュラー選手として活躍できること、(2)控えでもいいからメジャー契約が出来ること、(3)マイナー契約でもいいから、キャンプ招待選手からのメジャー昇格の可能性があること、といった段階がある。
前出のジーの場合、中日の話があってすぐ、元東京ヤクルトスワローズで現テキサス・レンジャーズのトニー・バーネット投手をはじめとする「元日本プロ野球選手」に連絡をして、「日本での生活はどうなのか?」を聞き出したという。
もちろん、「日本の先発投手は投球間隔が空くので球数も多い」ことや「日本はドーム球場が多い」こと、「日本の打者はパワーよりもコンタクト重視」といった情報収集も怠らなかった。