フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「今のレアルは危機的状況にあるが」
ジダンの激白はオシムにも通じる?
text by
パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメルPatrick Sowden et Frederic Hermel
photograph byL'Equipe
posted2018/01/29 10:30
昨年のフランス人最優秀監督に選ばれたジダン。しかしレアルでの現状は、昨季までの順風とは一転している。
監督を続けて、自分を保ち続ける術を身につけた。
われわれはこの2年間に8つのタイトルを獲得したが、いいことばかりだったわけではない。ホームでの敗戦もあったし、4試合連続引き分けもあった。それらをバネに奮発したんだ。すべての試合に勝つと口にしながらシーズンに入るわけじゃない。そんなことは不可能だし絶対にありえないからね。
選手たちがピッチの上ですべてを私に与えてくれた。私はただ練習場とスタジアムで起こる現実に対応しただけだ。選手は日常生活のさまざまな誘惑を断ち切って1時間半のトレーニングに集中する。私にとって重要でありまた心がけているのは、私と一緒にいるときに彼らの注意を私に向けさせることだ。つまりトレーニングをして会話をして回復する……。
外部のプレッシャーはまったく気にならない。
外部のプレッシャーはまったく気にならない。雑音はすべて遮断して、余計なことには一切気を遣わないことにしている。もちろんどういう状況であるかは常に注意しているよ。そして家に帰ったら完全に仕事を離れて気持ちをオフにする。多くの監督はなかなか気持ちをスパッと切り替えられないようだけど、私にはそれができる。
家では妻や子供たちと寛いでいるし、夫婦で芝居を見に行ったり食事にもでかける。そうしてリフレッシュすることが不可欠なんだ。2年間レアルの監督を続けて、自分を保ち続ける術を身につけた。勝ったからといって絶頂感に浸らないし、負けても絶望的に落ち込まない。選手たちもそうしたメンタルを理解して欲しいと願っているよ。
選手へのメッセージはシンプルだ。
今は状況が少し複雑だけれども、そう深刻になる必要はない。そのことを私は強調したい。冷静さを保ち続ければそのうちにきっと良くなる。もちろん負ければ悔しいし辛い。選手も同じ気持ちで、彼らも決して手を抜いているわけではない。
だがシーズンを通してトップコンディションを維持することなど不可能だ。そして誰もがわれわれにひと泡吹かせようと、手ぐすね引いて待っている。