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「今のレアルは危機的状況にあるが」
ジダンの激白はオシムにも通じる? 

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パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメル

パトリック・ソウデン&フレデリック・エルメルPatrick Sowden et Frederic Hermel

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photograph byL'Equipe

posted2018/01/29 10:30

「今のレアルは危機的状況にあるが」ジダンの激白はオシムにも通じる?<Number Web> photograph by L'Equipe

昨年のフランス人最優秀監督に選ばれたジダン。しかしレアルでの現状は、昨季までの順風とは一転している。

レアルに10年いられるとは思っていない。

 選手時代の威光は仕事を始めるにあたって役には立った。だが3週間も過ぎれば、そんなものはなくなってしまう。名前には何の意味もない。選手が望むのは試合に勝つことであり、そのためのプレーのアイディアを監督が提供し、どんな仕事をするかであるからだ。

 私はよく自問する。ここまでうまくいっているのか。自分はこれから進歩できるのか。よりよくするためには何を変えればいいのか……。常にそうした気持ちを抱いている。完璧にすべてをこなしたと思ったことは一度もない。目標は必ず少し高い位置に置くようにしている。

 いつかレアルを去る日が来る。それが分かっているから私は成功のためにすべてを捧げている。

 こう思っているんだ。あと10日しか残されていないのならば、その10日間全力を尽くそう。6カ月あるならば、その6カ月ですべてをやり尽そうと。他は何もない。レアルに10年いられるとは思っていない。

 だからこそ今という時間を大事にして、選手たちにすべてを伝えたいというエネルギーが湧いてくるんだ。外部の人間に頼れないのはわかっているし、人生は複雑でコントロールできないこともわかっている。それではどうすればいいのか。何をコントロールすればいいのか。それはまさに今、ここにあるものをだ。

私にとって試合は最悪だ。エネルギーを費やすからだ。

 私にとって試合は最悪だ。何故なら膨大な量のエネルギーを費やすからだ。だがそれでも私は試合が好きだ。たとえ最後には空っぽになるにせよ、アドレナリンが全身を駆け巡るのがたまらなく好きなんだ。思うように試合が運ばなくとも、その強い刺激が私を虜にする。

 別にマゾではないよ。監督はその背中に何を背負っているかということなんだ。敗戦の責任はすべて監督が負う。私自身その役目を逃れられないし受け入れてもいる。今は選手だったころと同じことをしている。つまり私は私の責任を果たす。

 シーズンの準備が始まるや否や、われわれはリーグ優勝のための日常的なスケジュールを確立した。

【次ページ】 監督を続けて、自分を保ち続ける術を身につけた。

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#レアル・マドリー
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