酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
内川聖一は当代最高の右打者である。
あまりにも圧倒的な3つの数字。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2018/01/10 11:30
内川聖一は歴史に残る名打者である。彼が一線級であるうちに、その名人芸を目に焼き付けておきたい。
横浜であと55安打していれば夢の……。
横浜、ソフトバンク各々での通算成績は以下の通りだ。
横浜 901試合3019打数945安打79本塁打355打点 打率.313
ソフトバンク 868試合3361打数1030安打97本塁打531打点 打率.306
くりかえしになるが、内川がソフトバンクに移籍した2011年から統一球が導入された。パ・リーグのリーグ打率は2010年の.270から.251に急落した。そんな中で内川は3割をキープしたのだ。
記録マニアとしては、横浜であと55安打打ってくれていれば、大杉勝男(東映、ヤクルト)、落合博満(ロッテ・日本ハム、巨人・中日)、和田一浩(西武、中日)に次ぐ4人目の「両リーグ1000本安打」だった。何とかならないかと思わないではないが。
内川の高度な打撃技術は、リーグをまたいでも通用した。これは凄いことだ。
3.内川は、滅多に三振しない名人級のスラッガーである。
論より証拠。パで過去3年間、合計1000打席以上立った打者の打率ランキングに三振率(三振数÷打数)をつける。
1柳田悠岐 (ソ) 1378打数452安打 打率.328 三振321 三振率23.3%
2秋山翔吾 (西) 1775打数572安打 打率.326 三振278 三振率15.8%
3近藤健介 (日) 859打数279安打 打率.325 三振131 三振率15.3%
4角中勝也 (ロ) 1335打数406安打 打率.304 三振160 三振率12.0%
5西川遥輝 (日) 1476打数437安打 打率.296 三振314 三振率21.3%
6森友哉 (西) 947打数280安打 打率.296 三振263 三振率27.8%
7内川聖一 (ソ) 1351打数398安打 打率.295 三振134 三振率9.9%
8浅村栄斗 (西) 1668打数484安打 打率.290 三振340 三振率20.4%
9銀次 (楽) 1269打数366安打 打率.288 三振142 三振率11.2%
10中村 晃 (ソ) 1505打数430安打 打率.286 三振157 三振率10.4%
ソフトバンク柳田、西武秋山と今年30歳になる脂の乗り切った選手が上位に来て、内川は7位だが、三振率はただ1人10%以下。並みいる強打者が4~6打数に1回は三振を喫している中で、内川は10打数に1回以下だ。
1000打席以上でこれよりも数値が低い打者は、内川と同い年の楽天、藤田一也だけ(8.9%)しかし藤田の打率は.264だ。
またセ・リーグ1000打席以上の打者で最も低い三振率は、阪神・鳥谷敬の14.7%だ。