リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサ最後方に“GK版メッシ”が。
1対1に強すぎるテア・シュテゲン。
posted2017/12/22 08:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
「バルサのゴールキーパーは難しい。任務はエキサイティングだけれど複雑。サッカー界に存在する重大なチャレンジのひとつといえるが、それに挑む力が君にはあると我々は信じている」
2014年5月22日の入団会見において、歓迎と警告を兼ねた言葉でテア・シュテゲンを迎えたのは、当時スポーツディレクターを務めていたスビサレタだった。
このときテア・シュテゲンは22歳。ブンデスリーガをすでに3シーズン経験し、バルセロナのGKが必要とする足先のスキルは自他ともに認めるレベルにあったが、大方のファンは心許なさを感じていた。先任が2003年から11シーズンもの間のバルサのゴールを守り続け、数々の記録を残したビクトル・バルデスだったからだろう。
この年監督に就任したルイス・エンリケも同様に感じたのか、経験豊富なGKをもう1人スビサレタに要求し、バルサはクラウディオ・ブラボを獲得している。
「グローブを付けたメッシ」の圧倒的な守備力。
あれから3年と7カ月。スビサレタがいまもバルサに残っていたら、彼の鼻はさぞ高くなっていたのではないだろうか。今シーズン、テア・シュテゲンはマルカ紙いわく「グローブを付けたメッシ」となってチームを支えているからだ。
まずは数字を挙げよう。リーガは16節終了時点で全試合にフル出場し失点はわずかに7。CLでも5試合450分間を1失点に抑えているので、合計すると1試合平均失点は0.38まで下がる。昨季の1.00とは段違いだ。
次に無失点試合だ。リーガではこれまで10試合(全体の63%)、CLでは4試合(80%)を失点ゼロで終えている。昨季はリーガが36試合中13試合(36%)、CLが9試合中6試合(67%)だったので、こちらも大幅に増えている。