リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサ最後方に“GK版メッシ”が。
1対1に強すぎるテア・シュテゲン。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2017/12/22 08:00
好セーブを連発するテア・シュテゲン。ロシアW杯では、ノイアーから定位置を奪ってドイツの正守護神に君臨するかもしれない。
一番必要なのはビルドアップより1対1を止めること。
チームのディフェンスシステム再構築(監督交代)が原因の一端となっているのは間違いないが、一方でシュートに対する反応が今季は群を抜いて素晴らしいのも確かだ。
例えば11月22日のCLユベントス戦第2レグでは、終了間際、実質見えないところから放たれたディバラのシュートを見事に止めた。またリーガのアラベス戦、ジローナ戦、エイバル戦、アトレティコ戦、アスレティック戦、レガネス戦、ビジャレアル戦では敵フォワードとの1対1を平然と制した。
ビクトル・バルデスは、かつてこれこそがバルサのGKにとって重要な要件だと語ったことがある。
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「メディアは俺のキックばかり話題にするけれど、足先のスキルは練習で向上させることができる。だから、俺は常々思っていたんだ。バルサのGKに大事なのは1対1で世界最強であることだと。データを見ると、勝敗の行方を左右する1対1の場面はシーズン中に25回から30回ほど生じている」
相手がどこにシュートするか決断するまで我慢できる。
GK出身であり、クライフのバルサでプレイしたスビサレタもわかっていたのだろう。テア・シュテゲンは、自分が守るゴールに向かってくる敵と対面するとき、数歩前に出て膝を曲げ、両手を広げて待つ。1961年から76年までバルサのゴールを守った元スペイン代表GKサドゥルニは、この構えを褒めている。
「よく考えられているよ。どちらの手も、どちらの足も伸ばすことができる。敵FWを脅かす非常に良い構えだ」
だが、そこから先は基本に忠実なだけだともいう。
「彼がやっているのはGKなら誰でも習うこと。つまり、相手がどこにシュートするか決断するまでじっと我慢するんだ。ただし気持ちが高ぶる試合中に、あれを冷静に実践するのはとても難しい」