リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
バルサ最後方に“GK版メッシ”が。
1対1に強すぎるテア・シュテゲン。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2017/12/22 08:00
好セーブを連発するテア・シュテゲン。ロシアW杯では、ノイアーから定位置を奪ってドイツの正守護神に君臨するかもしれない。
PSG戦の大逆転劇を演出した好守と的確なパス。
極限状態における尋常ならざる冷静さは、なるほどテア・シュテゲンの強みといえる。昨シーズンに遡るが、パリ・サンジェルマンを6-1で破ったCLノックアウトラウンド1回戦第2レグ終了間際のワンシーンを覚えている人は少なくないのではないだろうか。
あと1点を求めて迎えた93分過ぎ、メッシがFKを得ると、テア・シュテゲンも自陣を離れて敵ゴール前まで上がった。メッシが蹴ったボールは敵にクリアされ最後部にいたアルダの足下に飛んだ。が、すぐさまベッラッティに奪われてしまう。
バルサにとっては絶体絶命のピンチだ。そこに戻ってきたテア・シュテゲンが現れた。状況からして、ベッラッティの身体に手を回し、ファウルでプレイを止めるのが普通だろう。ところが彼は足先だけでベッラッティのボールを奪った上、クリアもせず、右サイドのブスケッツにパスを出したのだ。バルサの6点目は結局そのときベッラッティがテア・シュテゲンに対して犯したファウルから生まれている――。
バルサがテア・シュテゲンに目を付けたのは2010年。彼がボルシアMGのトップチームに上がったばかりの頃だ。以来スカウトやGKコーチがスポーツディレクターとともに資質を注意深く観察し、4年の後「バルサ向き」を確信して買い上げることを決めた。
開花は時間の問題だったのかもしれない。そう考えると、いまのセンセーショナルな活躍はなんら不思議なことではない。