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ユース世代でFC東京U-18が快挙!
佐藤一樹監督、驚異のチーム管理術。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/16 08:00
高円宮杯U-18プレミアリーグ・イースト優勝で歓喜するFC東京の選手や関係者たち。極限のチームマネジメントが試された、稀有なチームでもある。
「『俺はJ3に出ている』という驕り」は論外。
U-18チームの現場では、これまで以上にきめ細やかなチームマネジメントが求められることになった。
「選手個人のことを考えると……J3を戦うことで経験値が上がって、それをきっかけに伸びた選手も沢山いるので、J3効果は間違いなくあると言えます。でも、我々のハンドリング次第で、その成長が逆に転がっていく危険性もはらんでいるわけです。
特に重要なのはU-18のチーム内で『俺はJ3に出ている』という驕りを選手に出させないこと。そこはきっちりと釘を刺していて、もしそうした素振りを少しでも見せる選手がいれば、ピッチに立つ資格は無いと厳しく伝えています。その基準がブレてしまうと、チームはたちまち無法地帯になってしまいますから」
佐藤監督がチームマネジメントをする上で重要視したのが「絶対に崩さない戦術の大枠」と「徹底的な選手の観察」だった。
「まずベースとして、『これは絶対にやってくれ』という大枠を作って、その中で『なぜ君はこのポジションなのか』、『なぜベンチスタートなのか』などを理論的に説明できるようにしています。『相手がこういう布陣だから、このマッチアップだと君の特性を出せる』とか、『相手の縦への速さに対して、君の高さで勝負したい』とか、『近いポジションでコンビを組むのがあの選手だから、君との相性がいい』など、詳細に選手を観察して、しっかりと起用理由を伝えていかないといけません」
「(選手の)オフの部分までも知っておかないと」
さらに入れ替わりの激しいチームながら、ある柔軟性も持たせるように考えていた。
「絶対にブレない“大枠”があれば、与えられたポジションで自分の個性や相性を存分に発揮させることができ、チームとしての戦術的な柔軟性を生むこともできてくる。組み合わせ、配置など、選手一人ひとりを隅々まで観察して、『この選手はこういう性格だから、この状況で使ったら力を発揮する』という感じで、いつもそのことを考えていました」
選手の一挙手一投足を見逃さない――それは固定されたメンバーだけでなく、U-18チームでプレーしているすべての選手が対象となる。当然、J3で戦う選手達のプレーやコンディション、出場時間などのチェックも欠かせない。
「(選手の)オフの部分までも知っておかないといけない。そこまで知っておかないとこれだけ多くの選手を回せないんです。普段からしっかりとコミュニケーションをとったり、観察しておかないといけないんです」