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ユース世代でFC東京U-18が快挙!
佐藤一樹監督、驚異のチーム管理術。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/16 08:00
高円宮杯U-18プレミアリーグ・イースト優勝で歓喜するFC東京の選手や関係者たち。極限のチームマネジメントが試された、稀有なチームでもある。
U-18は、学校の入学・卒業でチームが激変してしまう。
ユース世代の宿命は、それぞれの選手たちに学校での入学・卒業があり、一気にメンバーが変わってしまうこと。この条件は、どのチームも同条件だが、FC東京U-18にとって今年想定外だったのは、トップチームのケガ人が続出したことにより、より多くの選手がJ3の舞台に“引き上げられてしまった”ことだ。
この苦難のチームマネジメントについて、いくつか具体的な事例を挙げる。
そもそも、今年のプレミアイーストは不安のスタートだった。開幕戦で清水エスパルスユースを相手に後半アディショナルタイムの失点で黒星発進となった。
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続く第2節、浦和レッズユース戦は、同じ日にJ3のC大阪U-23戦(アウェー)が行われていた。そのチームにはDF坂口祥尉、MF久保建英、平川怜、岡庭愁人、小林幹、FW原大智の6人のU-18選手が招集されており、前節の清水ユース戦から実にスタメンを6人も入れ替えての戦いを強いられたのだ。
当然ながら、この試合、チームは大苦戦を強いられた。
「この試合で勝ち点を拾えたからこそ、今がある」
前半に先制を許し、後半途中までリードを奪われた。しかし、70分にFKから横山のヘッドで同点に追いつくと、後半アディショナルタイムには途中出場のMF杉山伶央がヘッドで決めて、劇的な逆転勝利を飾った。殊勲の横山、杉山は清水ユース戦でスタメンではなく、杉山はベンチ入りもしていない選手だった。
「この試合で勝ち点を拾えたからこそ、今があると言ってもいいと思います。あそこで変な負け方をして、連敗をしてしまっていたら、ちょっと危険な状況もあったと思います。
リーグ序盤戦は経験がまだ積めていない状態で、なおかつ成長しきれていない。その状態で高いレベルの試合に入るから、当然選手達も困惑する。でもそれを勝ちに持っていった。しかもギリギリのアディショナルタイムで……本当に紙一重の中で勝負をしていたと言えます」