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ロナウド&メッシさえいなければ……。
バロンドール3位という涙の歴史。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2017/12/15 11:00
5度目のバロンドール受賞を祝福されるロナウド。ここまでズラリと並ぶと、壮観というより有難みがないような……。
2010年だけ“異変”が起こっていた。
2010年だけが抜けているのはもちろん意味がある。この年だけ“異変”が起きていたからだ。
<2010年>1位:メッシ、2位:イニエスタ、3位:シャビ
なんと3人すべてがバルセロナ勢だ。当時のグアルディオラ監督のもとで「ティキ・タカ」と表現された精密なポゼッションサッカーは世界中に衝撃を与えた。また同年の南アフリカW杯では決勝戦でイニエスタが決勝点を挙げ、スペインが念願の初優勝を果たしている。
それでもナンバーワンは、メッシだった。そして選から漏れたロナウドも翌年からは定位置の1位か2位を取り戻している。
たとえばだが、2人は人類を超越しているということで、もしも「ロナウド&メッシ抜きの最上位がバロンドール」というルールを勝手に作ったとする。そうするとこの10年間の“獲得数”はこんな感じになる。
2回:シャビ、イニエスタ、ネイマール
1回:F・トーレス、リベリー、ノイアー、グリエスマン
メッシはイニエスタ、シャビに感謝していた。
メッシとチームメートで、ロナウドとクラシコで戦い続けたシャビとイニエスタ、ネイマールが見事に割を食っている。
とはいえシャビ&イニエスタの卓越したゲームメークはメッシの決定力が最後にあってこそだし、中盤がバルサより心もとないアルゼンチン代表で苦闘するメッシの姿を見れば、その逆もしかり。3人がピッチで最高の関係性を見せていたのは疑いようがない。
2010年の受賞時にメッシは「仲間とこの賞を分かちあいたい。彼らなしでは自分もここにはいないのだから」と2人を称えていたが、きっとメッシも、シャビとイニエスタに“名誉バロンドール”を贈りたいんじゃないだろうか。