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浦和の心のスキに入り込んだもの。
CWC、「1つ勝てばレアル」の怖さ。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byAFLO
posted2017/12/11 12:30
「1つ勝てばレアル」という言葉の陰には、昨年の鹿島の躍進もチラついた。浦和にかかっていたピッチ外のプレッシャーはいかほどか。
心のスキに入り込むものは、残念ながら存在した。
だからこそ、この敗戦は喪失感と失望感で溢れた。
勝利を収めて本当の意味での大会をスタートするという思いを実現することができなかったことへの後悔の念が、選手たちを襲った。試合後に取材エリアに姿を見せた選手たちは、敗戦のショックを隠せない様子であったし、もしかしたら隠す気もなかったのかもしれない。
試合前から必死で自分たちに言い聞かせていた言葉はピッチに反映されず、心のスキに入り込むものは存在した。試合を終えたラファエル・シルバは「今日の自分たちに欠けていたのは、集中力だった」と話した。そして、それがピッチ上の何に表れたのかという問いかけに対しても、こう言葉をつないだ。
「ボールを自分たちが持っている時に失ってしまう。決定的な場面でゴールを決めない。ボールを保持しているのに、相手に渡してしまう。相手がカウンター狙いと分かっているのに、リスク管理に欠けた」
柏木「ちょっと自己中心的なプレーも多かった」
また、中盤でフル出場した柏木陽介もまた、メンタル面に問題があったと自己批判した。
「スタジアムの雰囲気、相手の入り方の緩さとか、そういう部分で少しチームとしての油断が生まれたのかなという気がします。自分もそうだけど、ちょっと自己中心的なプレーも多かったのかなと、正直そういう気はしないでもない。
最終的なところで自分が決めたいとか、ここでひとつ持ち出せば、自分で何とかできたというところがあったのかなと。守備に関しても今日はもうちょっといけたんじゃないかなというところが全体的に多かったし、ボールを取られての切り替えも少し遅かったような気がする。
勝負に徹せていないということではないと思うけど、そういう気持ち的な部分で、緩みがあったのかなという気はしないでもない」
さらに柏木は「今日は悔しいというよりも、情けないという気持ちの方が大きい」と、まとめた。試合をしてみて、相手が同等以上だったと認めたくない気持ちを隠し切れない。その上で、負けたという事実が重く圧し掛かる。ネガティブな感情に支配されて当然の状況だ。