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浦和の心のスキに入り込んだもの。
CWC、「1つ勝てばレアル」の怖さ。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byAFLO
posted2017/12/11 12:30
「1つ勝てばレアル」という言葉の陰には、昨年の鹿島の躍進もチラついた。浦和にかかっていたピッチ外のプレッシャーはいかほどか。
気持ちで負けた、と簡単には言えないが……。
「気持ちで負けた」という言葉は、外から見ている人間が安易に使って良い言葉ではない。しかしその気持ちがプレーに表れていたのならば、それは敗因になり得る。必死で心の中から追い出そうとしていた緩みは、水面に広がる波紋のように確かに存在してしまっていた。
浦和は10年前にもアジアを制してこの大会に出場し、約3位に躍進した。そのパフォーマンスは鮮烈で、UAEに来てから現地の大会スタッフなどに聞いても、浦和の知名度はかなり高い。世界的に見れば注目度は今ひとつと言われる大会でも、やはりそれだけの影響力はある。
周囲が望んでいたのは、この大会でアジアの、日本の浦和レッズという存在を世界に発信すること。その望みはもう、ほとんど叶えられないだろう。それでも、この大会の少しだけポジティブなところは、必ず2試合はして帰ることができるということだ。
12日に行われるウィダード・カサブランカ(モロッコ)との5位決定戦は注目度が決して高くないが、自分たちの力や野心、思いを少しでもこの地に残していくことはできる。
週末が絡んだとはいえ、片道12時間はかかるUAEまで300人のサポーターが駆けつけて後押しした。5位決定戦に回っても、渡航をキャンセルせずにこれからやってくる人たちもいる。
そして何より、自分たちの悔しい思いを少しでも晴らすことができるのはピッチの上でしかない。彼らにとっては、長いシーズンの最終戦であり、今季のメンバーで戦う最後のゲームでもあるのだ。後悔の念が消えることは無いかもしれないが、最後は笑顔で終われるように。
その瞬間は、自分たちで掴み取るしかない。