マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
健大高崎vs.遊学館が熊野で実現!?
センバツまで4カ月、才能を発見。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byMasahiko Abe
posted2017/12/05 07:00
健大高崎の山下航汰は、「機動破壊」に深みを加える貴重な長距離砲だ。
“お節介アドバイス”、聞いてくれたのかも。
実は前日、紀南高・小倉大夢副部長から意見を求められ、こんな“お節介アドバイス”を送っていた。
「キラッと光る素質を持っているのに、本人が気づいていないので、小さくなって野球をしているのが勿体ない。実際上手いのだから、もっと大きな顔をして、えらそうにプレーしたほうがもっと上手くなれるのでは……」
バッティングだって、空振りか長打か。それぐらいのスイングをしてほしい。
その通りのスイングから、センター前になかなか落ちてこない長く伸びるライナーのヒットが生まれて、「ヨシッ!」と膝を叩いた。
次の打席で、あっという間に三遊間を破った打球もそうだ。昨日までのどこか加減したようなスイングからは絶対に生まれない、地を這うような痛打だった。
お節介アドバイス、もしかしたら、伝えてくれたのかもしれない。
耳にしたことを「ああそうですか……」と聞き流すことなく、「もしかしたら自分に合うかもしれない……」と試してくれたとしたら、こんなに嬉しいことはない。
試して、“これかな”と思って拾う。そして、納得がいくまで試し続ける。違うな……と感じれば、そこで捨てればよい。
練習とは、日常のそうした行為の積み重ねを言うのではないか。
そんなことを考えているうちに、2日間、駆けずり回って球児たちの“晩秋のセンバツ”を追いかけ続けた疲れがじんわりと体を覆ってきた。線路の継ぎ目をきざむ音が心地よい。
さあ、ここから名古屋まで、まだ3時間。
次の高校野球は、「春のセンバツ高校野球」。そこまでは、今からまだ4カ月ある。