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健大高崎vs.遊学館が熊野で実現!?
センバツまで4カ月、才能を発見。 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byMasahiko Abe

posted2017/12/05 07:00

健大高崎vs.遊学館が熊野で実現!?センバツまで4カ月、才能を発見。<Number Web> photograph by Masahiko Abe

健大高崎の山下航汰は、「機動破壊」に深みを加える貴重な長距離砲だ。

高校通算40本塁打かつ、アベレージヒッター。

 私が見た2試合5打席、すべて初球を打ち損じなしのジャストミートだった。絶妙のタイミングでバットの芯で捉え、ライトに痛烈な打球のシングル2本、左中間フェンス直撃の二塁打を1本。ヒットにならなかった二塁ゴロとレフトフライも正面を突いた凡退で、内容は「ナイスバッティング!」だった。

 すでに高校通算40本塁打をマークし、長距離砲という定評がある一方で「アベレージヒッター」としての高い技術を持ったバットマンだ。

 “見下ろし”のバットを構えているのがいい。投手が魅入られたように、彼のタイミングに合わせて投げている。こういう空気を作ってしまえば、しめたもの! だろう。打者として、バッテリー間18.44mを支配しつつある。

遊学館・牧野は2年生ながら“ベテラン”捕手感が。

 遊学館高・牧野翔矢(まきのしょうや/2年・178cm78kg・右投左打)捕手も、山下航汰には、とりあえず……みたいなフワッとした入り方をしてしまった。しかしもう1人の好打者・高山遼太郎(たかやま・りょうたろう/2年・172cm67kg・右投左打)左翼手には、投手にスライダーを続けて4球要求したり、斬新、奇抜な配球を見せてくれた。

 牧野は1年夏から遊学館高のレギュラーマスクをかぶり続ける“ベテラン”のチームリーダーだ。初回の投球練習の後、二塁に山なりの送球をしたので、肩でも痛いのかな……と思ったら、その直後、二盗の走者をピシャッと刺したから驚いた。

「コンスタントに1.8秒で投げますよ」

 山本雅弘監督が教えてくれたその通りの、上手い遊撃手のような“早ワザ”だった。

 捕って速い。ボールの持ち替えが速いというよりも、おそらく本人の感覚は「捕りながら投げる」。もっといえば、「捕った瞬間、ボールが指先を離れている」。そんなところだろう。

 実戦で刺せる“本物の強肩”の正体とは、そうした手の平感覚、指先感覚の優秀さが大きな要素を占めるのだ。

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