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大学ラグビーは未熟だからこそ面白い。
早慶戦に溢れていたミスとプライド。
posted2017/12/01 08:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
日曜の早朝の興奮。
日本代表はフランス代表と23-23のドロー。勝てたかもしれない――という思いは残るが、敵地で堂々たる戦いっぷりを見せ、2019年のラグビー・ワールドカップに向けて大きな試金石となったと思う。
むしろ、W杯で大物食いをしては勝ちきれないフランスにシンパシーを感じてきた身としては(1999年、2007年にオールブラックスを倒した試合はとにかく最高である)、代表チームの不甲斐なさに不安が募る。
日本代表に関しては、6月のアイルランドとのテストマッチ・シリーズで感じた戦略への疑問(キッキング・ゲームを強調しすぎていた)が払拭され、日本らしいパスで相手を崩すアタックが奏功していたことを評価したい。
再開するトップリーグからサンウルブズ、そして来年6月のテストシリーズが楽しみだ。
これぞ、大学ラグビーという早慶戦。
そして先週、感じ入った試合がもうひとつあった。
伝統の早慶戦である。
実のところ前半はミスが連鎖し、凡戦の様相を呈していた。ところが後半に入って慶応が主導権を握り、21-9とリードしたところから、早大の反撃が始まった。いかにも「早大らしい」連続攻撃で2トライを奪い、早大が23-21の逆転勝ち。
しかも試合終盤には、早大のトライがスローフォワードと判定され、ノーサイド間際には慶大が早大陣深くまで攻め入るなど、スリル満点の内容だった。
これぞ、大学ラグビーという試合だったと思う。
ところがここ数年、大学ラグビーを取り巻く環境には厳しいものがある。ラグビー界ではファン層が分極化し、大学ラグビーのエントリー層がなかなか増えないのだ。
まず、2015年のW杯を機に代表のファンになった層がいる。加えて、トップリーグを長く応援する人たちがいる。スーパーラグビーのサンウルブズのファンも多い。