スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
大学ラグビーは未熟だからこそ面白い。
早慶戦に溢れていたミスとプライド。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2017/12/01 08:00
トップリーグに比べれば体も小さく、ミスも多い。しかしその懸命さは、どのカテゴリーよりも熱いと言って過言ではない。
過酷なプレッシャーに挑む学生の姿がある限り。
対する早稲田の山下大悟監督は、こう話した。
「両スタンドオフ(早大・岸岡智樹、慶大・古田京)のキャラクターもあるかと思います(笑)。ビッグゲームで予期せぬことが起こって、繊細になっていたかもしれません。でも、そうした『ハイ・プレッシャー』の状態になることが、『さすが早慶戦』ということだと思います」
さすが、早慶戦。
この言葉には、先人たちの積み重ねてきた重みが凝縮されている気がした。それを今の学生たちが背負って戦っている。
たしかに、プレーは拙いかもしれない。しかし、早慶戦の重みはいつも通りのプレーを許してくれないのだ。それを乗り越えようとする学生の姿がある限り、私は早慶戦を見続けるだろう。
世界のラグビーがどんなに進化しようとも、日本の大学ラグビーの価値は貴重なものだと思う。
12月の第1日曜日に行われる早明戦も、きっといい試合になるはずだ。
大学ラグビーは、いい。