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石川直宏が引退直前に佐藤由紀彦と。
「最後は自分らしく」「ナオのスタイルを」
text by
馬場康平Kohei Baba
photograph byAsami Enomoto
posted2017/12/01 17:00
現在のJリーグを見渡しても、FC東京にとっての石川直宏ほど「バンディエラ」という言葉が似合う選手がどれほどいるだろうか。
14番、18番はこれからもクラブに引き継がれていく。
石川「かつて一緒にプレーしてきた、ユキさん、サリさん(浅利悟)、フジさん(藤山竜仁)、ミヤさん(宮沢正史)のような人たちが、今このクラブのために働いている。いろんな世界を見て、東京に帰ってきてくれた人もいる。
確かに、リーグのタイトルは取れていないかもしれない。でも一時代を築いた伝統を良い意味で残しつつ、ここが足りないって僕たちがどんどん仕掛けて形にしていく。同じ想いを持った人たちと、もしかしたらこれから仕事ができるかもしれない。そういう楽しみはある。そうなれば、僕は言わずにはいられない性格だから、言いたいことはズバズバ言っていきたい。今、クラブに対しては複雑な感情も残っている。でも、ユキさんと話してきた東京の良さも僕は知っている。だから、このクラブをもっと強くしたい、もっと良くしたいって思うんですね。いろんな人を巻き込んでいきたいですね」
――これから2人が受け継いだバトンが次に渡ることを楽しみにしています。来年FC東京として20周年の節目を迎えます。一時代が終わっていく寂しさもありますが、クラブが大きくなるために過渡期に入っていくという見方もできます。その過程で14番や、18番を着けた選手が活躍する姿を見ることができたらうれしいですよね。
佐藤「ヨッチが、14番を着けて周囲に騒がれはじめた時はうれしく思いましたね。それと同時に、インタビューの受け応えを見ていると、ナオっぽいなって思いました。今後、彼がナオから継承していく存在だと思いました。ただ、そういう選手ってつくり出せないんですよね。選手一人ひとりにさまざまな背景があるので、ナオみたいな、ヨッチみたいな選手をつくり出すことはできない。
ナオがさっき言ったように、きっとヨッチは何かを感じたり、見たりしてそれを体現しようとしたのだと思う。それは感じ方、受け取り方の問題もある。でも、そこにモデルが身近にいないといけない。彼を見た時、次はこの子がチームを引っ張っていく存在になるのかなとは思っていました」
石川「ある意味チャンスだと思っています。次に18番を着ける選手には、新たな18番像をつくってもらいたい。そういう強い気持を持って背負ってくれるなら、誰が着けてもいい。変に重荷に感じてほしくない。ユキさんの14番や、アマラオが背負った11番もそうだけど、僕は番号と名前が一致する選手になりたかった。アマラオがこのチームを去った時に、11番が空いて次はナオが着けるべきだという話もあった。だけど、自分の中で36番から18番に変わる時に、FC東京の18は石川直宏にしていきたいという想いでずっとやってきた。だから、次の18番を着ける選手の『俺の番号にするんだ』という姿に期待したい」
佐藤「ただ重いだろうね。次に着ける選手は」
石川「でも、正直、けがが多かったので、18を着けた途端にけがが多くなったとならないでほしい。そこはすごく心配しています(苦笑)」