フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
宇野昌磨、不調でもファイナル決める。
自身最後のGPでフェルナンデス優勝!
posted2017/11/21 10:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
ISU/ISU via Getty Images
GPシリーズ第5戦目、11月17日からグルノーブルで開催されたフランス杯。ハビエル・フェルナンデスが優勝し、宇野昌磨が2位でGPファイナル進出を確定させた。3位はウズベキスタンのミーシャ・ジーが、初のGPメダルを手にした。
SP前日の公式練習後、囲み取材に現れた宇野昌磨は、うっすらと目の下にくまを作っていた。
公式練習はジャンプが不調で、その理由を聞かれると「わかってはいるけれど、口にしたくありません」ときっぱり。だがその後、スケートカナダから帰国した翌日、インフルエンザに感染して4日間寝込んだことを告白した。
納得のいく練習ができないままに、挑んだフランス杯だった。
転倒あるも質の高い演技で93.92獲得。
翌日のSP、ビバルディの組曲『四季』より『冬』のバイオリンの音色に合わせて演技を開始したが、冒頭の4フリップで転倒。
それでも持ち直して後半の4+3トウループ、3アクセルは成功させた。
演技後、ミックスゾーンに来ると宇野はこうコメントした。
「つらかった。とても苦しかったです。体力面ではなく、何も跳べる気がしないけれど、やらなければならない、という。笑顔が出る余裕がなかったです。練習で失敗しているジャンプがそのまま出た。次のトウループが跳べたことが驚きですけれど」
このところ安定していた宇野から聞いたことのない弱気な言葉だった。
よほど調子が悪かったのだろう。氷との相性も、良くなかったようである。だがそれでも失敗を引きずることなく後半をまとめ、コンポーネンツは全て9点台。
転倒があっても93.92を出したのは、全体の質が高いことをジャッジたちが評価しているからに違いない。