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イングランド代表の世代交代が強烈!
原石の目標はロシア以上に“5年後”。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2017/11/19 09:00

イングランド代表の世代交代が強烈!原石の目標はロシア以上に“5年後”。<Number Web> photograph by Getty Images

ロシアW杯ではポット2に入ることが決まったイングランド代表。日本にとってライバルになる可能性もある。

ドイツ戦の先発メンバー平均年齢は24.5歳!

 当初は国民も基本システムだった4-2-3-1からの変更に賛同していたわけではない。メディアでは「ロシアン・ルーレット」という表現まで用いられた。代表“暗黒期”の象徴であるスティーブ・マクラーレン体制下で、3-5-2採用が裏目に出てクロアチアに完敗した記憶は、11年を経た現在でも忘れられていないようだ。

 3-5-2を採用して若手重視で臨んだドイツ、ブラジルとのテストマッチはともにスコアレスドローに終わり、ドイツ戦では45%対55%、ブラジル戦では34%対66%の割合でボールを支配されながらも、見応えある展開にファンとメディアからは「希望」という言葉が目立った。

 監督の信念の強さだけでも、イングランドは本格的に変わり始めたと期待を抱かせる。怪我で招集外となる選手が続出し、ダニー・ドリンクウォーターがチェルシーでの実戦不足を理由に辞退した一件も物議を醸した。

 しかしサウスゲートは「これ幸い」と若手を追加招集した。ドイツ戦先発メンバーの平均年齢は24.5歳で、11人の合計代表キャップ数がドイツの「301」に対して「112」だった。

10代の頃から育成されてきた選手が続々と台頭。

 この試合、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのは、先発したルーベン・ロフタス=チーク。フィジカルとテクニックを併せ持つ21歳は、U-16時代からサウスゲートに目をかけられていたMFだ。また中盤には来夏の本番でレギュラー格とも見られる、デル・アリとハリー・ウィンクスのトッテナム勢が顔を揃えた。

 フィル・ジョーンズが負傷したCBにはベテランのギャリー・ケーヒルではなく20歳のジョー・ゴメス(リバプール)にチャンスが与えられ、4日後のブラジル戦に先発起用された。またブラジル戦前には、こちらも20歳のFWドミニク・ソランケ(リバプール)とMFルイス・クック(ボーンマス)が、招集メンバーに加えられた。なおソランケは、この連戦で代表デビューを経験した6人目の選手となった。

 彼らが駆け出しのプロで、同じ若手でも優勝候補と目されるドイツやブラジルとは、現時点での差は歴然だ。マンチェスター・シティで戦力となっているレロイ・サネ(ドイツ)はロフタス=チークと同い年。マンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォードは、イングランド攻撃陣ではブラジル戦で最も存在感を示したが、代表での数字は通算15試合2得点。そのブラジルで13試合8得点のガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)とは、同じ土俵では語れない。

【次ページ】 守備力、ビルドアップ能力を兼備するストーンズ。

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