プレミアリーグの時間BACK NUMBER
イングランド代表の世代交代が強烈!
原石の目標はロシア以上に“5年後”。
posted2017/11/19 09:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
W杯欧州予選でグループF首位突破。年内最後の2試合でも、FIFA世界ランキングのトップ2を相手に堂々の無失点引き分け。W杯ロシア大会を7カ月後に控えたイングランドで、国民は代表チームに期待を抱いている。
ただし、これまでのように「スリー・ライオンズ優勝」の可能性が騒がれているわけではない。フットボールの母国というプライドがあるとはいえ、昨年の欧州選手権でアイスランドに敗れて16強で散った代表がわずか2年で世界王者に化けるはずはないという現実的な見方もあるだろう。
ただ同時に、スリー・ライオンズの新たな未来を目撃している実感もある。人々は“ヤンガー・スリー・ライオンズ”に希望を抱いている。
代表を率いるガレス・サウスゲート監督から、すでに前進を予感させている。11月10日のドイツ戦、4日後のブラジル戦での毅然とした指揮官ぶりで、信念に基づくチーム作りを推し進めようとしている。
サウスゲートは「イングランドDNA」の体現者。
その原動力は若い世代への信頼だ。代表復興に向けて育成改革に本腰を入れたFAの下、サウスゲートはエリート選手養成の責任者、U-21代表の監督を経てA代表の指揮を任された。育成改革の代名詞となった「イングランドDNA」の体現者と言える。
新たな指針を簡単に記すと、高い技術を持つタレントを見出し、才能を伸ばすための環境と過程を与え、プレッシャーのある環境下で実戦で鍛えてトップクラスに磨き上げること。優秀な若手が育ち始めているのは、複数の世代別代表が達成した国際大会での成功からも明らかだ。
ただ一方で、有望な若手が未だにプレミアリーグで十分な出場時間を与えられていない面もある。そうした状況の中、サウスゲートは「クラブレベルで与えられないのなら、自分が代表でチャンスを与える」と発信するかのような采配を見せている。
「ユースで育っているタレントを熟知しているからこそ、A代表の監督に選ばれた」とも語るサウスゲートはW杯出場を決めた後、持ち駒に適した戦術として、3バックをベースに本大会を戦う意向も明らかにしている。