プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日韓戦に激勝、稲葉ジャパン初陣。
山川穂高の打撃を内川聖一が絶賛。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2017/11/17 12:00
おかわり2世と呼ばれるのは、体型だけが理由ではない。群を抜くスイングスピードと、逆方向への打球。期待度は高い。
稲葉監督が語っていた「国内の実績よりも対応力重視」。
冷や汗の勝利にはもちろん反省もあるが、3年後に向けた収穫もある。
その1つが4番を打つ山川の可能性ではないだろうか。
「今大会は4番はずっと彼を使っていこうと思っています」
24歳以下、または入団3年以内というフレッシュな顔ぶれの中で、オーバーエイジ枠で選出された山川への期待を指揮官はこう語っていた。
大会前に雑誌『Number』で五輪に向けて稲葉監督のインタビューをさせてもらった。そのとき監督が語っていたことで一番印象に残っているのが、代表には国内の実績より対応能力の高い選手を選びたいということだった。
「万能系というか、初めてのピッチャーに対してもアジャストできる選手というのはいるんです。だから僕も3年間かけて1人でも多くの選手に代表に入ってもらって、対応力とか、そういう順応性を見てみたいなとは思っています」
4番の山川は一見プルヒッターにも見えるが……。
その1つが、動くボールにどう対応できるかだ。
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、結局、このボールに対応し切れないまま結果を残せなかった打者がいた。ポイントはボールを呼び込んで、逆方向にどれだけ強いボールを打てるかにある。その観点からすると、この日の山川の打撃は可能性を示すものだと言えるだろう。
6回の2ランは左腕・ク・チャンモの141キロの低めのストレートを右中間の最深部まで運んだ特大の一撃だった。山川は2回に先発のチャンからこの試合のチーム初安打も放っているが、これも逆らわずに中前に弾き返したものだった。
ヘルメットを吹っ飛ばしてのフルスイング。リストワークを使ってヘッドを走らせる打撃からはプルヒッターの印象が強いが、山川のバッティングの基本は、ボールを引き付けてセンター方向に撃ち返す、逆方向にもフルスイングできることなのだ。