プロ野球亭日乗BACK NUMBER
日韓戦に激勝、稲葉ジャパン初陣。
山川穂高の打撃を内川聖一が絶賛。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2017/11/17 12:00
おかわり2世と呼ばれるのは、体型だけが理由ではない。群を抜くスイングスピードと、逆方向への打球。期待度は高い。
シーズン中も、右方向への打球でこそ真価を発揮。
それが如実に出ているのがシーズン中の打球方向だ。
今季はシーズン途中から4番に座り、78試合に出場し打率2割9分8厘で23本塁打を放っているが、左方向への本塁打14本に対してセンターから右方向の本塁打が9本もある。打率に関しては左方向には2割7分2厘に対して中堅方向は3割2分9厘、右方向だと3割9分1厘と、むしろ逆方向の打球で真価を見せているのである。
「基本的にはバックスクリーン狙い。真っ直ぐに合わせて、狙い通りに直球がスーッとくればパチンと振ればいい。ただ、変化球で間合いが崩されたときに、逆にフルスイングする。変化球だと思った瞬間にガバーッと振るんです」
本人がこう語るように、フルスイングの中にアジャストへのカギがある。だから逆方向への打球が凄まじく飛ぶ。宮崎合宿で行った日本ハムとの練習試合では、SOKKENスタジアムの右中間にあるスコアボードの上部を直撃する飛距離140メートルの特大弾も放っている。
山川の逆方向への飛距離はホンモノだということだ。
内川聖一が「かなり高度なホームラン」と絶賛。
「野球人生の中でも思い出になる1本。正直、入ると思わなかったので、入ってくれてホッとしています」
試合後に本塁打を振り返った山川は、日の丸を背負って4番を打つ重みをこう語る。
「プレッシャーは目茶苦茶ありました。本当に緊張したし、その重圧と戦いながら自分と戦いながらやることで日の丸を背負った意味がある」
この日、テレビ中継のゲスト解説を務めていたソフトバンク・内川聖一外野手も「バッターとしてかなり高度なホームランで期待したい」とエールを送っていた。内川といえば今春をふくめてWBCに3大会連続出場して、'13年の第3回大会では打率3割4分8厘で日本代表の首位打者となった国際試合のスペシャリストでもある。その内川がお墨付きを与えた打撃技術が、山川にはあるということだ。
右の大砲という代表のど真ん中を埋める大きなピースになることができるかどうか。
山川がまず、その1歩を踏み出した。