野球善哉BACK NUMBER
安田尚憲「考える力がないと……」
歴史書や勉強で培った力と、野球。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/11/08 17:00
「野球エリートが勉強もできること」が肯定的な文脈で語られるようになったことがすでに、状況が変わりつつある証拠だ。
「語彙力が高くて、言い回しがうまい人はかっこいい」
彼のような「文武両道型アスリート」は、今後のモデルケースにもなりうる。
アスリートとして成長するためには、他のことを切り捨ててでも専門性を高めて鍛えるべきという発想になりがちだが、実は視野を広げて勉強もすることで、知識が増えて人としての器も広がっていく。その上で、理解力が高まり、成長への後押しとなっていく。
「大人の人と話していて、語彙力が高かったり、言い回しがうまい人は本当にかっこいいと感じます。これからも勉強はしっかり続けていきたいですね」
そんなドキっとするようなことを安田はたまにいう。
人の話をしっかりと聞ける人間だからこそ、そうした言葉が出てくるのだろう。
安田のような勉強との両立を果たしてきた選手がプロで成功を収めれば収めるほど、世間の見方は違ってくるはずだ。スポーツだけに没頭すればいいという考えは、もはや時代遅れである。