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平野美宇のチキータが読まれた!
卓球W杯、徹底マークに見えた課題。
posted2017/11/05 09:00
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
AFLO
カナダ・トロント郊外のマーカムで開催された卓球女子ワールドカップ(10月27~29日)は、ディフェンディングチャンピオンの平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)の2連覇に期待がかかった。だが優勝したのは大会時に世界ランク2位(11月1日発表の最新ランク1位)だった中国のシュ・ウレイ。平野は4位という結果に終わった。
平野にとってワールドカップは大きな転機となった大会だ。昨夏のリオ五輪で控え選手に甘んじた悔しさを爆発させるように、日本人初、大会史上最年少記録で優勝したのが米国・フィラデルフィアで1年前に開かれたワールドカップだった。当時16歳だった平野はこれを機にブレークし、全日本選手権やアジア選手権のビッグタイトルを獲得。世界選手権でも銅メダルを手にするなど、この1年間目覚ましい快進撃を見せてきた。
カナダへ出発する直前、平野が自身のSNSにつぶやいた、「もう一年が経つのかぁ。早いなぁ!!」という言葉にもワールドカップへの思い入れが見て取れる。
中国以外でも進む平野対策。
優勝した昨年に比べ、4位という今年の成績に物足りなさを感じるが、その一方で昨年と今年とでは平野を取り巻く状況がまるで違うことを忘れてはならない。まず、昨年欠場した中国からはシュ・ウレイと、世界ランク4位(最新ランク3位)のリュウ・シウェンが出場した。その中国は今年4月のアジア選手権でトップ3が平野に負けて以来、平野対策に余念がないが、さらに中国以外の国も平野をマークしていることが明らかだった。
それが顕著だったのは大会最終日の準決勝と3位決定戦だ。とりわけ準決勝のリュウ・シウェンは平野の武器である決定力の高いロングサーブも狙い打ちするなど、得意技を見事なまでに封じストレート勝ちを収めた。一方の平野はリュウ・シウェンのサーブに苦しみ、レシーブでミスが出た。
平野は試合後、「回転が読みにくかった」と話したが、ベンチに入った中澤鋭コーチはそれを裏付ける例として、「平野の武器の1つであるチキータレシーブも、以前なら通用したものが今は対応されてしまう。チキータを効果的に使うのなら、もっと別の何かを入れなければ通用しない」と説明している。