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楽天の伝説からヤンキースの伝説へ……。
田中将大、世界一まであと少し! 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byMLB Photos via Getty Images

posted2017/10/20 11:35

楽天の伝説からヤンキースの伝説へ……。田中将大、世界一まであと少し!<Number Web> photograph by MLB Photos via Getty Images

アストロズと2勝2敗で迎えた重要な試合で圧巻の投球を見せた田中。メディアやファンも含め、「田中こそヤンキースの真のエース」と絶賛の嵐となった。

「失投は1球もなかった」

 負けず嫌いな男はカイケルと自分の差をこう表現した。

「相手投手との違いはランナーを出してからの精度の高さの違いかなと思っています」

 精度は球質であり制球力。田中の発言を補足するならば、“カイケルは走者を背負ってから失投がない。それに対し自分はまだ……”と言うことだった。だが、その5日後。彼は見事にやり返した。

 抜群の制球力で失投はなし。得点圏に走者を許した3度の場面では6打席無安打にアストロズ打線を封じ込め、4番打者コレアは「全ての球種がコーナーに決まっていた。失投は1球もなかった」と脱帽した。

ヤンキースの歴史に残る“レジェンド”の領域へ……。

 思い起こせば、田中将大の野球人生とは常に屈辱が原点になっているのではないだろうか。そう感じてならない。

 '06年の夏の甲子園決勝では早稲田実業との引き分け再試合で敗戦。

 プロ入り後は初登板初先発で2回と持たずに6失点ノックアウト。

 海を渡ってからは、初体験となった'15年のワイルドカード戦の一発勝負で負け投手。

 今季は不安定な投球が続き防御率は一時6点台をさまよいエースの称号を剥奪された時期もあった。だが、今の彼にはこんな数字が並んでいる。

 ポストシーズンで7回無失点を2度記録した投手は、1960年のホワイティ・フォード、2000年のロジャー・クレメンスに続き、ヤンキース史上3人目。

 防御率0.90は19回以上投げた投手として、1921年のウエイト・ホイトについでチーム史上2位。

 公式戦最終盤からヤンキースタジアムでは22回連続無失点。

 直近8試合での本拠地登板は7勝1敗、防御率0.96。

 伝説の名投手と肩を並べ、まさにヤンキースのエースの名にふさわしい投球なのだ。

【次ページ】 「彼はまた一段レベルが上がった」

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