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爆買い補強でもミランは低空飛行。
モンテッラ解任危機を救うのは誰?
posted2017/10/06 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
カネをかければ、成功は即ついてくるのか?
サッカー界の永遠のエニグマ(謎)に、ミランのモンテッラ監督はまだ答えを出せずにいる。
今夏、彼のチームは約300億円をかけた“爆買い”補強で生まれ変わった。優勝候補との呼び声すら上がったほどだが、蓋を開けてみれば開幕後7節を終えた時点でミランはすでに3敗を喫し、7位に甘んじている。
「2度とこんな失態は許さん。言い訳など聞きたくもない」
6節のアウェーゲームでサンプドリアに0-2で敗れた後、ミランの経営を司るファッソーネCEOは激怒し、チームへカミナリを落とした。
「6戦して2敗は我々フロントの想定外だ!」
今夏の補強も選手たちの総年俸額も、サンプが費やした額はミランの約4分の1にすぎない。資金面や経営規模で圧倒的優位にある相手から手も足も出ずに叩きのめされたのだから、ファッソーネCEOが受けたショックと危機感は相当大きい。
あれだけの資金をかけたのに、仮に来季CL出場圏である4位を逃すことにでもなれば、今後のクラブ運営計画に大幅な狂いが生じる。
ファッソーネは「6戦してすでに2敗という現状は我々フロントの想定外だ。個々の能力や知名度で劣る選手たちのクラブに負けることなどあっては困るのだ」と、サンプ戦後のミックスゾーンで本音をぶちまけたが、机上の空論は芝の上では走らない。
ミランの問題は明らかだ。彼らはまだ“チーム”になりきっていない。
守護神ドンナルンマに主将ボヌッチ、司令塔ビリアと中盤のダイナモ、MFケシエの4人を軸とした骨格らしきものはある。ただし彼らは皆、昨季まで異なるチームでそれぞれ別のサッカーをしていた。