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ダルビッシュとヴァーランダー。
ワールドシリーズで両雄並び立つか。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2017/09/30 11:30

ダルビッシュとヴァーランダー。ワールドシリーズで両雄並び立つか。<Number Web> photograph by AFLO

2014年以来の2ケタ勝利を挙げたダルビッシュ。それ以上に追い求めるものは、ワールドシリーズチャンピオンだ。

ダルビッシュが打ち込まれるようなら絶体絶命だが。

 もうひとつ、ナショナルズは各球団からまんべんなく勝ち星をあげている。今季負け越している相手は、ブルワーズ(3勝4敗)、レンジャーズ(0勝3敗)、パイレーツ(1勝2敗)の3球団だけだが、この3つはたぶんポストシーズンに進出してこない。インディアンスやレッドソックスとは対戦がなかったが、問題はむしろ、そこへたどり着くまでの道筋だ。ドジャースとは3勝3敗、カブスとは4勝3敗、ダイヤモンドバックスとは4勝2敗、ロッキーズとは4勝3敗だから、どこが出てきても接戦にもつれ込む可能性が高い。

 一時はナ・リーグの大本命と見られたドジャースは、NLDSが正念場になるのではないか。今季はダイヤモンドバックス(8勝11敗)にもロッキーズ(7勝9敗)にも手を焼いてきただけに、ここでつまずく可能性がないとはいえない。となると、勝敗の鍵を握るのは、やはりダルビッシュ有だ。もし打ち込まれるようならドジャースも絶体絶命だが、荒野の用心棒を思わせる活躍を見せるなら、ワールドシリーズ進出は十分視野に入ってくる。

ア・リーグはアストロズ、インディアンスが本命。

 終盤になってようやく盛り返してきた昨年の王者カブスは、先発投手陣が依然として苦しい。ジョン・レスターのクォリティ・スタート率は58%に低下したし(昨年は81%)、カイル・ヘンドリクスは直球の球速が130キロ台後半にまで落ちてしまった。

 これでワールドシリーズを連覇できれば、1998~2000年ヤンキース以来の快挙だが(シリーズ王者の連続地区優勝ですら、8年ぶりだ)、若手の多いチームだけに、狙いはむしろ来季以降の熟成ではないか。

 ア・リーグのほうも、ナ・リーグに劣らぬ混戦が予想される。本命は、先に挙げたアストロズとインディアンスだが、8月、9月と6割台後半の勝率をあげてきたレッドソックスは、この両球団との直接対決に勝ち越している(インディアンスには4勝3敗、アストロズには2勝1敗)。対戦数が少ないので即断はできないが、短期決戦となればこの3球団は横一線だろう。そうなると、決め手は勝負札となりうる豪腕先発の存在だ。

【次ページ】 8月末に加入のヴァーランダーが最終兵器に。

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