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錦織圭不在でもデ杯で勝てた理由。
杉田、添田、マクラクランらが躍動!
posted2017/09/25 07:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Kiyoshi Ota/Getty Images
錦織圭を欠いた日本チームが、デビスカップのワールドグループに踏みとどまった。
錦織だけではない。1年前に同じワールドグループ・プレーオフを戦ったメンバーのうち西岡良仁も、ダニエル太郎もいないチームだった。
周知の通り錦織は右手首のケガで8月から戦列を離れ、春に膝の手術をした西岡はまだ復帰にいたらず、ダニエルは個人ツアーを優先させた。
シングルス上位4人のうち3人を欠いていたのだ。
対戦相手のブラジルもトップ2を欠いてはいたが、そのことがこの残留の価値を下げるものではないだろう。岩渕聡・新監督は「錦織、西岡、ダニエルがいなくてもワールドグループにいられるという、今の日本の層の厚さをあらためて感じた」と話したが、アジア・オセアニアゾーンから抜け出せない時代を戦ってきた41歳の新監督の感慨にも偽りはない。
昨年の優勝国アルゼンチンがワールドグループから陥落したほどの熾烈な生き残り合戦である。
相手がどの国であれ、今年は参加国総数が134あるうち16カ国しかない強豪ワールドグループに残ったことにこそ大きな意味がある。この数年、ワールドグループの中で世界のトップと戦ってきたことは選手個々の成長と無関係ではない。そのことを彼らは知っているからだ。
近年のデ杯で思い知った「錦織1人では勝てない……」。
錦織という絶対的エースを得て、2012年に日本が27年ぶりにワールドグループに復帰し、1度はすぐに降格したものの、2014年からは毎年ワールドグループで戦い、来年が連続5年目となる。
この間、初戦を突破したことは1度だけ。プレーオフで勝って残留し続けていることが評価される一方で、思い知らされてきたことがある。
錦織1人では勝てない……。
錦織のいない今回は、その課題の克服度が試されたデビスカップだったともいえる。