テニスPRESSBACK NUMBER
錦織圭不在でもデ杯で勝てた理由。
杉田、添田、マクラクランらが躍動!
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byKiyoshi Ota/Getty Images
posted2017/09/25 07:00
デ杯で勝利した直後の杉田。世界ランクもグングン上がり、まさに絶好調。これから先、どこまで伸びるか!?
ダブルス・スペシャリスト、マクラクランの登場!
このマクラクランという聞き慣れない名前の選手は、数カ月前までニュージーランド人としてプレーしていた25歳のダブルス・スペシャリストだ。
ニュージーランドにはダブルス強者が他におり、前々から抱いていたデ杯メンバー入りの希望を叶えるため、母の母国である日本に登録を変更した。スペシャリストといってもダブルス・ランキングは140位程度で、実績はまだ高いとはいえないが、日本ではトップ。岩渕監督の言葉を借りれば「ダブルスのためだけに時間を使ってくれる選手」が1人加入したことで、理想的な〈分業制〉には大きく前進した。
内山靖崇のほうはこれまでもダブルス要員として代表入りする機会が多かったが、決してダブルス専門ではない彼が、ほぼデ杯だけの即席ペアで、世界の強豪ダブルスプレーヤーとの勝負にならない勝負を戦ってきたやるせなさはあったに違いない。
今回も強豪相手のほぼ即席ペアではあったが、「勉がいることでダブルスの練習がたくさんできるのは、僕にとってはうれしいことでした」と変化を語る。
また、岩渕監督が現役時代に鈴木貴男とのダブルスでデ杯での日本歴代最多勝利を挙げた実績を持つことにも触れ、「岩渕さん自身の経験からアドバイスをもらえるのも心強かった」と振り返った。
錦織、日本チームだけの問題じゃないデ杯の難しさ。
こうして確実にチーム力を高め、ワールドグループの舞台も用意して錦織の復帰を待つ日本。感慨深い残留だったが、要の錦織が来年チームに復帰するという保証はどこにもない。まだとてもボールを打てるような状況ではない錦織が、たとえシーズン開幕に間に合う回復を見せたとしても、だ。
それは錦織個人や日本チームだけの問題ではなく、デビスカップ自体が今直面している問題でもある。