マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
鳥谷敬の実像は早大時代から不変。
いつもいる、というのは尊いことだ。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/09/11 17:00
2000本安打を達成した鳥谷。今季は“同窓”の青木も日米通算2000本安打を達成している。
中肉中背の遊撃手の、さりげない底力。
いったい、2人の将来はどんな展開になっていくんだろう……。
そんなことを、漠然と考えながら、三塁側ダグアウトの上のほうからボンヤリとリーグ戦を眺めていたその時、左打席の鳥谷敬のバットがふんわりとボールを乗せたかと思うと、彼の打球にしては高く舞い上がったその放物線が、なかなか落ちてこない。
あれっ、あれっ……と打球を追っていくと、なんとバックスクリーンのその上を越えて、バックスクリーンの裏にある売店のそのまた向こうまで飛んでいってしまった。
痛烈なライナー性の打球が外野フェンスを襲う。そんな場面ばかり見ていたものだから、たいした力感も伝わってこないような、さりげないスイングから生まれたとてつもない飛距離に、この中肉中背の遊撃手の隠し持っている底力のすごさを改めて感じ入ったものだった。
おめでとう、2000本安打。
「積み上げていくこと」の困難さと何よりの確かさにあらためて思いをはせながら、心より祝福と敬意を送りたい。