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鳥谷敬の実像は早大時代から不変。
いつもいる、というのは尊いことだ。

posted2017/09/11 17:00

 
鳥谷敬の実像は早大時代から不変。いつもいる、というのは尊いことだ。<Number Web> photograph by Kyodo News

2000本安打を達成した鳥谷。今季は“同窓”の青木も日米通算2000本安打を達成している。

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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Kyodo News

 阪神タイガース・鳥谷敬内野手がプロ野球史上50人目の“2000本”を達成した。

 2004年に早稲田大学から阪神に入団して、今年で14年目。大ベテランである。

 2年目の2005年からは、毎年一軍の全試合に出場して守りの要の“ショート”を守り、バットを握ってはクリーンアップもつとめて、押しも押されもせぬ「タイガース」の顔。

 今の言葉でいえば、“レジェンド”ということになるのだろうか。

 2015年からは年俸4億円の5年契約を結んで、事実上の「生涯・阪神」を宣言。チームの至宝として、今季も連日、三塁手のレギュラーとして奮戦を続けている。

 阪神での14年間、2000本もの安打を放ち、遊撃手としては「ゴールデングラブ」を4回も獲得してさんざん活躍してきたはずなのに、あの大沢たかお(俳優)そっくりの顔はよく覚えていても、私は鳥谷敬の“声”を知らない。いや、どこかのヒーローインタビューか何かで聞いたことはあるのだろうが、まったく覚えがないのは、どうしたことか。

 そういう方、実は意外と多くいらっしゃるのではないだろうか。

近所の居酒屋にいる、寡黙な主人のような。

 毎日のように通う近所の居酒屋。

 のれんをくぐるたびに、季節に応じた絶妙な料理を供してくれるご主人の、顔はだれでもよく見知っているが、その声は「いらっしゃい……」のひと言も聞いたことがない。そういう“達人”が、たまにいらっしゃるものだ。

 早稲田大学当時の鳥谷敬のことは、よく覚えている。

 野球部の後輩ではあるが、会ったことはない。

 今もプロ野球、社会人野球で変わらぬ活躍を続けている“腕利き”たちがズラリと居並ぶチームの中で、ことさらキラキラ輝いていたわけでもなく、いつも黙々とひたむきにバットを振り、ボールを追っていた記憶しかない。

 東京六大学リーグ戦4連覇を続けていた頃のチームだから、メンバーはそりゃあすごかった。

【次ページ】 田中、青木らと超豪華だった「才能集団」。

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