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“愛されるホンダ”は生き残れるのか。
マクラーレンの批判と31年前の危機。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2017/09/10 07:00
今年のイタリアGPでは、50年前にホンダに勝利をもたらしたRA300のデモ走行が行われた。ハンドルを握ったのはGP3を戦う福住仁嶺。
ホンダだけでなくチームもハッピーになるために。
翻って現在のホンダは、勝つことができないが、FIAからバッシングを受けることもない。
山本部長は言う。
「16戦15勝のときとは時代が違います。チームにはチームの考え方があり、ホンダにはホンダのやり方がある。これからはホンダだけではなく、チームもハッピーになるにはどうしたらいいのか。お互いがどのようにして理解し合って、ウィン・ウィンの関係になれるかが大切です」
2017年のイタリアGPでは、こんなイベントが開催された。
1967年の同GPで優勝したホンダRA300の復活ランである。このRA300は、0.2秒差でチェッカーを受けるという劇的な勝利でホンダに2勝目を与えたマシンだが、別の意味でもホンダにとって画期的な存在だった。
それはホンダが100%自前のマシン開発から、海外のメーカーと手を組んでの開発に移行した最初のマシンだったからだ。
劇的な勝利から50年。モンツァで響いたホンダ・ミュージックを聴いた観客から喝采を受けたホンダRA300。
いま、ホンダは2018年以降のF1活動について、大詰めの協議を行なっている。だれと組むのか、どのような提携となるのか。強いホンダも格好いいが、愛されるホンダは私たちの誇りだ。