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ダルビッシュとドジャースの快進撃。
前田健太すら巻き込まれる生存競争。
posted2017/08/19 08:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
ドジャースに移籍したダルビッシュ有が順調な再スタートを切っている。8月4日の対メッツ戦(移籍初戦)が7回(99球)を投げて無失点(被安打3、与四球1、奪三振10)。8月10日の対ダイヤモンドバックス戦が5回(106球)を投げて自責点2(被安打5、与四球2、奪三振10)。2戦目は制球に苦しむシーンもあったが、これは珍しくないことだし、つぎはまた別人のような投球を見せてくれる可能性が高い。ゾーンに入ったときのダルビッシュがアンタッチャブルであることは、これまでに何度も証明されている。
カーショー復帰で、前田がローテ外になる可能性も。
では、ダルビッシュ加入は、ドジャースにどのような影響を与えているのだろうか。8月1日から12日までの11戦を、ドジャースは8勝3敗と、依然順調なペースで乗り切っている。先発投手の名を列記してみよう。
1日=前田健太、2日=ブロック・スチュワート、3日=アレックス・ウッド、4日=ダルビッシュ有、5日=リッチ・ヒル、6日=柳賢振、8日=前田、9日=ウッド、10日=ダルビッシュ、11日=ヒル、12日=柳。ウッドとダルビッシュが2勝ずつをあげ、前田と柳が1勝ずつを記録している。
基本形は5人のローテーションで、スチュワートはスポット先発だ。これでクレイトン・カーショーが8月末に戦線復帰すれば、柳かヒルか前田のうち、だれかひとりが先発ローテーションから外れる。いいかえれば、ダルビッシュの加入によって、もともと強力な先発陣はさらに競争が激しくなった。「スーパーカーだらけのガレージに、フェラーリがもう1台加わった」と評したメディアの反応も、あながち大げさとは言い切れない。チーム防御率リーグ1位(3.12)、奪三振数リーグ最多(1100個)、与四球数リーグ最少(304個)。総合力が図抜けている。