野球善哉BACK NUMBER
積極性が空回った時にどう戦うか。
作新学院の連覇を阻んだ「負の循環」。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/08/10 07:00
史上7校目となる夏連覇を成し遂げられなかった作新学院。積極性を貫くことの難しさを感じさせる戦いだった。
高校野球は勝負が決まるワンプレーが連続する。
小針監督も中島も「昨夏覇者のプレッシャーはなかった」と断言している。ただ複合的な要素が彼らの判断を迷わせるものが発生したのかもしれない。
盛岡大付・関口清治監督は、試合に臨むにあたっての意識をこう回想していた。
「作新学院さんは積極的なチームですので、それを上回るくらいの積極性を出さないと話にならないと生徒たちにはいってこの試合に臨みました。エンドランを掛けたり積極的な攻めをしたのは、その表れでもありました。守る側としては、作新学院さんがエンドランを多用するチームなので、守備が早く動かないなどの対策はしっかりしてきたつもりです」
作新学院はいつも通りに戦ったはずだった。だが、相手に積極的な姿勢で上回られ、気づかぬうちに受けて戦っていたのではないか。
「(高校野球は)ワンプレーで勝負が決まっていくことの連続だと思うので、1球の勝負強さが増していかないといけないと思いました」
小針はそう唇をかみしめた。
昨夏覇者はメンタルスポーツの難しさに苦しめられ、夏の戦いを終えたのだった。