“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
FWとの空中戦で「うおりゃああ!」。
流通経済大柏・関川郁万は武闘派CB。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/08/15 08:00
センターバックとして大前提となるディフェンス力と闘争心。関川はそのベースをしっかりと鍛え上げている。
CBながらハットトリックを達成する決定力。
3回戦の市立長野戦では、攻撃面で存在感を発揮した。10分に絶妙なボールコントロールからのミドルシュートで先制点を奪うと、52分には右CKからのクロスをヘッドで叩き込んだ。さらに後半アディショナルタイムには、味方がPKを獲得すると自らキッカーを志願。冷静に決めて、CBながらハットトリックを達成した。
「DFでハットトリックはなかなかないので、最後のPKは蹴らせてもらいました。得点は狙っていたし、2点目を決めた時からハットトリックは狙っていた。素直に嬉しいです」
貪欲な気持ちを隠すことなく、プレーと言葉で表現する関川。準々決勝の長崎総合科学大附属戦では、高校No.1ストライカーと評されるFW安藤瑞季のマンマークを任された。試合こそ2-1で勝利したものの、関川はマッチアップした相手に対して、49分にワンタッチの左足シュートを決められてしまった。
得点を許した悔しさは、次の試合ですぐ晴らせ。
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関川は“エース潰し”の任務を全うできなかった悔しさをにじませた。
「安藤選手は率直に強くて、フィジカル、スピードで苦戦しました。もっとうまく対応しなければいけないのに手を焼いてしまい、しかも得点まで許してしまった。マンツーマンでついた相手にゴールを奪われたのは反省しかありません」
悔しさは、すぐに晴らす。続く準決勝の相手は前橋育英。青森山田、京都橘を下し、優勝候補筆頭に相応しい勝ち上がりを見せてきたタレント集団に対し、関川は気迫のディフェンスを見せた。
マッチアップしたのは同じ2年生の榎本樹。184cmの高さを誇り、その時点で5ゴールを挙げ得点ランク1位を走っていた榎本に対し、関川は「絶対に負けたくないという気持ちと、得点王を抑えて自分が点を獲るつもりで臨んだ」。激しい寄せと空中戦でハイレベルなバトルを繰り広げた。