オリンピックへの道BACK NUMBER
笑顔と感謝の浅田真央アイスショー。
アンコールの白ドレスに込めた思い。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/08/08 11:30
彼女がリンクを滑るだけで、華やかさに包まれる。浅田の持つ魅力は「THE ICE」で余すことなく表現されていた。
バトル、小塚、高橋……様々な趣向が凝らされた。
バンクーバー五輪のフリーであった『鐘』では、まずジェフリー・バトルが滑り、小塚が引き継ぐ。小塚が浅田の振り付けを、ステップワークからフィニッシュのポーズまで完全にコピーしてみせると、歓声が沸いた。ソチ五輪のフリー 『ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」』を滑ったのは高橋大輔。『リチュアルダンス』の冒頭では、その高橋と浅田のコラボレーションが観られ、やはり歓声に包まれた。
それぞれ受賞者第1号となる愛知県県民栄誉賞と名古屋市特別スポーツ功労賞の授与式を挟み、第2部では、先の出演者や無良崇人、長洲未来らがソロナンバーを披露する。長洲はトリプルアクセルにも挑んだ。
出演者とともに、最初から最後まで晴れやかだった。
浅田も『ラフマニノフ「エレジー~スイートメランコリー~」』、アンコールとして『Wind Beneath My Wings』と2つの新プログラムを披露した。その都度、スタンディングオベーションで称えられた。そしてアンコールのときには白の衣装を身にまとった。遠目に見た限りでは、2010-2011シーズンのエキシビションで着用していたのと同じではなかったか。
「今年のTHE ICEは、私の今まで思い出に残っているプログラムだったり、また自分のソロナンバーは、今までの思いだったり感謝の思いだったりを皆さんに伝えたいという思いで滑っています」
衣装にも、その言葉通りの思いが表れているように思えた。
この日、浅田はどこまでも晴れやかだった。出演者たちに称えられ、あるいは出演者たちを称え、最後まで楽しそうに、笑顔を浮かべていた。競技生活の中では、ときに苦しそうな表情を浮かべることも、うつむくときもあった。それらと比べるならば、醸し出す雰囲気は異なる。