濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
新世代の勢いが止まらないRIZIN。
“神童”那須川天心がまたも魅了。
posted2017/08/04 07:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
7月30日に開催されたRIZIN(さいたまスーパーアリーナ)では、多くの試合に共通点があった。全11試合中8試合で、年齢が下の選手が勝っているのだ。残り3試合のうち1つは無効試合、もう1つは同い年、初勝利を挙げた山本美憂は対戦相手のキャシー・ロブより年上だったがMMAキャリアは浅い。
新旧どちらの世代にも年齢のバラつきはあるから、単純に一括りにはできない。とはいえ総じて“新世代”が目立ったと言っていい。そもそも、PRIDE参戦経験のある選手が1人も出ていなかった。
旗揚げ興行にはエメリヤーエンコ・ヒョードルの出場やボブ・サップvs.曙のリマッチがあったRIZIN。しかし現在の最大の魅力は新しさ、新鮮さだ。RIZINでMMAに挑戦、女子格闘技の認知度を一気に高めたRENAがその象徴だろう。
古参ファンが川尻達也らベテランの踏ん張りに感情移入できるのは、新世代の台頭があってこそ。
10月15日の福岡大会にしても、未来を託せる若者たちが中心にいるから、桜庭和志vs.ダン・ヘンダーソンの〈グラップリング・レジェンドマッチ〉が成り立つのではないか。
堀口、矢地。PRIDEに憧れた世代の台頭。
今大会のメイン、バンタム級トーナメント1回戦では堀口恭司が所英男をノックアウトした。カウンターの右フックから的確なパウンド連打でベテランを沈めた堀口はUFCフライ級3位の座を捨ててRIZINに参戦してきた26歳。PRIDEや旧K-1を少年時代に見て育った世代だ。
堀口と同い年の矢地祐介はパンクラス、戦極、DEEPでトップを張ってきた北岡悟の寝技をしのぎ切り、スタンドの打撃でレフェリーストップに追い込んでいる。