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なぜ浦和の失点がリーグワースト3に。
柏木が語る問題点と「恥ずかしさ」。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/24 12:15
19試合で34失点は、首位を走るセレッソのほぼ倍。浦和レッズに何が起こっているのか……。
柏木陽介は「恥ずかしい」と繰り返した。
試合後のミックスゾーンに姿を見せた柏木は、深いため息を交えながら言葉を発した。彼が発する落胆のオーラは、自らの不甲斐なさを恥じているものだった。
「なんてことのない失点だった。スペースを消しておけば、マークについてれば、防げたはずの失点だった。2点目も俺のミスから始まっているし、そういうところは集中していかなくちゃいけない。3点目も誰かがでていかないといけないところでの失点。4点目も普通にクロスがかぶっただけ。こんな感じだと、勝てるはずはない。
ドルトムント戦でいい試合ができたなかで、今日はなんで守備があんなにうまくいかなかったのか。誰もそんなつもりじゃないんだろうけれど、ひとりひとりがモチベーションの部分で、よくなかったのかもしれない。だから、立ち上がりの失点で、相手を勢いに乗せてしまった。いろんな部分で……ただ、恥ずかしいの一言。
今のサッカーをやっていて、監督に申し訳ないし、サポーターに申し訳ない。やっている選手たちも懸命なんだけど、自分たちがなんとかしないと何も始まらない。前の選手がしっかり守備をするとか、後ろの選手も安い失点をしないとか。中盤の選手はしょうもないミスをして取られないとか。そういうシンプルなところに関して、今日は欠けていたのかもしれない。
「監督が築き上げたものを、俺たちが壊している」
本当に申し訳ない。監督が築き上げてきたものを、育ててもらった俺たちが壊しているような気持ちになっている。レッズで築き上げてきたもの、レッズの一員として誇りをもって戦ってきたけれど、今日は本当にまともにサポーターの顔が見られなかった」
ミスでの失点というのは、よくあるとは言わないまでもサッカーでは想定内の出来事であるはずだ。そして “安易なミスを繰り返してはならない”という危機感が生まれてリスクマネージメントが働くのが、強いチームの通常の姿だろう。
しかし、セレッソを前にしたレッズはそれができなかった。失意をそのまま引きずり、相手の勢いに屈した。ボールを保持できた後半も、失点の恐怖がぬぐえなかったのだろうか。大胆な攻撃は見られず、ゴール前を固めた相手を崩せなかった。