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「柔道界も変わってきたんだよ」
井上康生が池田純に熱弁した未来。
posted2017/07/20 19:30
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Kiichi Matsumoto
「選手たちを信じること。それだけだったと思います」
2016年8月のリオデジャネイロ五輪で、金メダル2つを含む全7階級でメダルを獲得した日本柔道男子。大躍進を遂げた男子代表の監督を務めた井上康生氏は、すべての日程が終了したとき、大粒の涙を流し、声を震わせながら選手たちの奮闘を称えた。
5年前の'12年ロンドン五輪では金メダルが「0」に終わるなど、柔道界が混乱する時期だった。その後、監督に就任し改革に着手。わずか4年で日本柔道男子を立て直した手腕は高く評価された。'20年、東京五輪へ向け、現在も日本柔道男子をけん引する井上氏が、「Number Sports Business College(NSBC)」第7回の講師だ。
「選手以上に成長することができた4年間だった」
ロンドン五輪終了後、日本柔道男子の再建を託され監督に就任した井上氏。
「柔道界にあってはならない金メダル『0』というところがスタートでしたので、周りからは『火中の栗を拾うようなことをしていいのか』とか、『それはキャリアに傷がつくだけではないのか』という声もありました。しかし、私自身はそういう環境だからこそ、いろんなことができるのではないかとプラスに考えていて。それなら、自分がやりたいことを精一杯行って、そしてリオ五輪で成功に導いてやるという思いが強かった。いろいろなことを考え、苦しみ、悩んだ4年間ではありましたが、自分自身にとっては、選手以上に成長することができた4年間だったのではないかと思います」