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「柔道界も変わってきたんだよ」
井上康生が池田純に熱弁した未来。 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2017/07/20 19:30

「柔道界も変わってきたんだよ」井上康生が池田純に熱弁した未来。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

10年後、50年後の柔道界の未来も視野に入れて。

 最強かつ最高の選手の育成をすべく、練習量に頼っていたやり方をあらため質を重視した。科学的なトレーニングと分析の導入や選手の肉体改造に着手し、海外の民族格闘技を学んで対応力を養うなど、様々な改革を積極的に進めた。また、選手たちには自己マネジメントの重要性を説き、常に進化する大切さを意識付けさせるなど、ありとあらゆる方面からアプローチし、強化を図っていった。

「柔道界において、われわれはどういう道に進むべきか。どういう柔道界を作るべきか――」

 井上氏の視線の先には、「今」だけではなく、10年後、50年後の柔道界の未来も視野に入っている。

「数十年先にも続けられる組織、勝ち続けられる組織をどれだけ作っていけるか、という面も大切にしています。ですから、常にコーチやスタッフ陣でミーティングを開いて伝達をしていきながら、形が多少異なったとしても同じ方向性のもとでやれるようなスタイルで行っている。おそらく、私がいなくてもやるべきことを明確にし、進めていけるだけの組織をこの4年間で作れているのではないかと思います。

 ただ、何をするにしても、形式的なものだけに収まり、本質的なものが見えなくなってしまっては本末転倒。そういうことはあってはならない。現場で自分自身の目で見て判断する力はとても重要なことだということを、この4年間で感じさせてもらいました」

あぐらをかいているような組織ではなくなっている。

 そんな井上氏の熱のこもったトークに受講者からも次々と質問が飛んだ。

受講者「監督の立場として、全柔連に『ここはバックアップしてほしい』『変わってほしい』と訴えてきたものはどんなことでしょうか」

「もちろん、いろいろな意見、忠告もいただきましたが、現場サイドとしては、思い切りやらせていただきました。我々をしっかりと信用し、信頼してやらせてくれる、いわば、各それぞれの立場の者に『生きがいややりがいを持たせてくれる組織』になってきているのではないかと思います。また、まだまだ変えていかなければいけないことはたくさんあるのですが、柔道は日本柔道がすべてといったような、あぐらをかいて構えているような組織ではなくなってきているというところも大きいと思います。良きものを吸収し、また伝統を重んじる『伝統の継承と時代に対応するための革新』を考えた取り組みをされているかと思います。外から見れば『まだまだ』と思われるかもしれませんが、1つ1つ変えようという姿勢は見えていますし、それが感じ取れる。この先も少しずつかもしれませんが、変わっていけると信じていますし、その力になれるように私自身も努力し続けなければいけないと思っています」

【次ページ】 生涯スポーツとして楽しむ柔道があってもいい。

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