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U-20W杯優勝、イングランドに新星。
ドログバ2世はリバプールで輝くか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGeety Images
posted2017/06/18 08:00
若手がなかなか育たないと言われ続けたイングランドだが、U-20W杯制覇によってその風向きは変わってきそうだ。
ドログバ+トーレス+ジエゴの魅力を併せ持つ?
ソランケについてメディアで目立つのは、頭脳派FWとして鳴らしたテディ・シェリンガムの「俊足版」という表現である。だが筆者が抱いたイメージは、若かりし頃のディディエ・ドログバだった。187cm、80kgの体格は一見細身に見えるが、ゴールを背負ってのポストプレーや、相手DFの注意を引いて味方にスペースを生むランなどには、ドログバを思わせる力強さと存在感を覚えた。
ただソランケ自身は、チェルシーでの先輩格であるフェルナンド・トーレスとジエゴ・コスタを「手本」として挙げている。そう言われれば、瞬時の加速で相手CBを置き去りしてネットを揺らす姿は全盛期のトーレスに、いるべき所に顔を出し、こぼれ球を逃さず物にする嗅覚はジエゴに通じる。そんなドログバ、トーレス、ジエゴの魅力を併せ持つソランケにとっても、やはりトップチームへのハードルは高い。
17歳でCLデビューも、15分間だけの試合出場に終わる。
チェルシーでは、17歳になって間もない'14年10月のCL戦でピッチを初体験している。15分間の途中出場デビュー後には、生え抜きの大先輩であるジョン・テリーが、「足跡を刻み続けるはずの一軍で、第一歩を踏み出したね」とコメントしてエールを送っていた。
ところがソランケには、この15分間が最初で最後のトップチーム出場だった。かつて「潜在能力は実力として発揮できなければ意味がない」と言ったのは、21世紀初頭にチェルシーに所属したボウデビン・ゼンデンだが、ソランケは能力を発揮する機会自体を与えられずに終わったようなものだ。
移籍を決めた理由には、年俸の大幅アップから出場機会増の約束など複数の説があるが、リバプール加入で、少なくとも前述したハードルに挑めることは間違いない。獲得を決めたユルゲン・クロップは、リスクを承知で若手を使う勇気と忍耐を持つ指揮官なのだから。