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U-20W杯優勝、イングランドに新星。
ドログバ2世はリバプールで輝くか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGeety Images
posted2017/06/18 08:00
若手がなかなか育たないと言われ続けたイングランドだが、U-20W杯制覇によってその風向きは変わってきそうだ。
将来性ある面々が並ぶが、今後は競争が待ち受ける。
中盤センターには、クラブで足元の技術を鍛えられたルイス・クック(ボーンマス)とジョシュ・オノマ(トッテナム)が並ぶ。そして前線は、個人技のあるアデモラ・ルックマン(エバートン)が左サイドから中央に流れ、決勝で優勝に導くゴールを決めたドミニク・カルバート=ルーイン(エバートン)、通算4ゴールで大会得点王となったドミニク・ソランケ(リバプール)らが絡む。
合わせて8名を大会メンバーに送り出したエバートンとリバプールをはじめ、クラブレベルでの育成改革が然るべき方向に進んでいることが窺える優勝でもあった。
しかし問題は、今後彼らがチーム内競争を勝ち上がらなければならない点だ。潤沢なTVマネーは各クラブの即戦力購入予算となるため、ユース上りの若手には厳しい環境であり続けるからだ。今回の顔ぶれにしても、決勝で先発した選手のプレミア出場試合数は11人合計で44だけ。出場時間に換算すれば、途中出場の2名を入れても計12試合程度でしかない。
メッシ、ポグバらと名前を並べるMVPとなったが……。
それは今大会でMVPに輝いたソランケも例外ではない。かつてディエゴ・マラドーナ、リオネル・メッシ、セルヒオ・アグエロ、ポール・ポグバらが受賞したMVPプレーヤーでも、過酷な競争が待ち受けるのだ。
19歳のストライカーは、チェルシーにU-8時代から今年5月まで在籍。将来を嘱望されてきた期待の1人だ。4年前には再就任したジョゼ・モウリーニョ監督が「イングランド代表に育たなかったとしたら自分の責任だ」と発言し、名指しで将来性を評価していたほどである。
利き足は左でもボール捌きは右足も使える。本職はセンターフォワードだが、U-20W杯でもトップ下で起用されて機能するなど「9.5番」的能力を持ち合わせる。そしてフィニッシュはバリエーションが豊富で精度も高い。チェルシーで年間最優秀アカデミー選手賞に輝いた2014-'15シーズンは、合計41得点の量産ぶりだった。