福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
乾貴士の成長、福西崇史が高評価!
「余裕があるから変化をつけられた」
posted2017/06/08 18:00
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Asami Enomoto
シリア戦、一番目立ったプレーを見せてくれた選手は乾でした。サッカーに臨む上で必要とされる「余裕」を感じました。乾のプレーぶりについては後ほど詳しく説明しますね。
今回の親善試合を大まかに振り返ると、前半はこれまで積み上げてきたことを出し切れなかった。それはシリアの運動量がかなり豊富だったこと、また序盤で香川が左肩を痛めて負傷交代したことが影響しました。
チームとしては香川にボールを預けてリズムを作る狙いがあったはず。だけどその香川が開始10分の段階で交代したことで、どう試合を運ぶかという点でスムーズさを欠いた印象でしたね。
ただ香川の交代があったとしても、スタメンの中で3月の代表戦で出番がなかったのは昌子だけだった。そう考えると前半に変化を起こすようなプレーが少なかった点はイラク戦に向けて改善してほしいポイントです。
原口に代わって投入された乾が本当に効いていた。
後半に入ってすぐ先制点を許しましたが、同点ゴールのシーンではFWの大迫が左サイドに流れて原口、長友と3人で状況を打開し、長友の突破から最後は今野が走り込んで決めた。この後もポジションチェンジなど動きが出ましたが、前半から多くの選手が絡んだコンビネーションをもっと出せればベストでしたね。
そんな中で、1-1になってから投入されたのが乾でした。その乾のプレーが本当に効いていた。
乾は交代した原口と同じ、左サイド2列目に投入されました。スタメンだった原口は運動量の部分で貢献していたけど、彼本来の持ち味である左サイドから中央に入り込んでくるドリブルを仕掛ける場面がなかなか出なかった。これは原口に対していい形でボールを預けられなかったチーム全体の課題でもあるんですけどね。