酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
フル出場すれば100%で本塁打王!
「おかわりさん」中村剛也の突出度。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/05/16 08:00
「ボールがピンポン玉のように飛んでいく」という表現は、中村剛也にこそふさわしい。彼のホームラン率は群を抜いている。
規定打席に達した6シーズンはすべて本塁打王。
中村剛也は大阪桐蔭高校から2002年西武ライオンズに入団した。
当時からパワーは折り紙付きだったが、守備、走塁などプロのレベルに達しない部分も多くて、1年目は二軍暮らし。
以後もレギュラーにはなかなか定着できず、初めて規定打席に達したのは7年目の2008年、25歳の時だった。
この年も含め、中村は6シーズン規定打席に達しているが、この成績がすごいのだ。()はリーグ順位。
2008年 46本塁打(1) 101打点(3) 打率.244(27)
2009年 48本塁打(1) 122打点(1) 打率.285(14)
2011年 48本塁打(1) 116打点(1) 打率.269(13)
2012年 27本塁打(1) 79打点(2) 打率.231(29)
2014年 34本塁打(1) 90打点(2) 打率.257(25)
2015年 37本塁打(1) 124打点(1) 打率.278(12)
何と、規定打席に達した6シーズンすべてで本塁打王。そして打点王3回、打点はすべて3位以内。中村剛也は、試合にフルで出場さえすればタイトルを取る男なのだ。
あの王貞治でも規定打席に達した21シーズンで本塁打王は15回、本塁打王をとる確率は71.4%、中村剛也は驚異の100%なのだ。
そのかわり三振王も4回、三振かホームランか、今どき珍しい豪快さも中村剛也ならではだ。
今季の中村もすでに9本塁打、11本塁打の日本ハム、レアードを追いかける2位タイにつけている。
バットやボール、球場の広さが変わる中で……。
最後に、中村のすごさを示す決定的なデータを紹介しよう。
「TBA(True Batting Average)」という指標がある。セイバーメトリクス以前から存在する古い計算式で、レベルや環境が変動する中で作られた記録を補正するために案出されたものだ。